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主流派経済学者の間で進む財政赤字の再解釈

記事にある資金循環のゆがみが拡大する中で、海外の主流派経済学者の間で財政赤字に対する再解釈が進んでいます。

きっかけは、2013年から始まるサマーズの長期停滞論でしょう。

当時はリーマンショック4年超経過後も実質金利マイナスなのに、米国はGDP<潜在GDPで雇用者所得の回復が乏しい状況が続きました。

サマーズはこの背景に、先進国経済の過剰な設備・貯蓄・労働力を活用する投資機会不足や人口成長率鈍等による潜在成長率低下で均衡実質金利がマイナスに低下していることがあるとし、潜在力を下回る水準の成長や生産、雇用、金利が長期へ依存する恐れを指摘しました。

そして、長期停滞の処方箋として、金融政策は流動性の罠で効かないため、直接需要を引き上げることが最も有望であり、財政政策に伴うインフラ更新・補修や環境規制強化に伴う民間投資拡大や環境への好影響を期待しました。

また、元FRBのバーナンキ氏も2017年の日銀の講演で過剰貯蓄論を指摘し、これが当てはまるのが日本であり、大規模な財政政策を実施すべきとしています。

さらに、記事中にあるブランシャール氏とサマーズ氏は今年連名で出版した書籍の中で、マクロ経済政策は、事前においても事後においてもより積極的になるとともに、金融、財政、金融規制政策のバランスを再調整する必要があるとしています。

具体的には、低い中立金利は金融政策の対象範囲を狭める一方で、財政政策の対象範囲を広げるとし、このバランスの再調整を経済学の進化とするとしています。

そして、仮に中立金利がさらに低くなったり、金融規制が危機を防ぐには不十分であると明らかになった場合には、より大きな財政赤字、金融政策目標の修正、もしくは金融制度に対するより厳しい規制といったさらに劇的な措置が必要となる可能性があるとしています。

こうした資金循環のゆがみが、財政赤字の再解釈といった形で経済学に革命をもたらすかもしれないでしょう。

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