ステレオタイプのエネルギー論「欧州に遅れる日本」。
この連載、初回については「おおむね正しい(なぜ今までこういう普通のことを普通に言わなかったのか)」と評価しましたが、2回目以降はステレオタイプの「日本は遅れている」論で終わりました。
まず、この再エネの導入で欧州に遅れているという記事。
この記事でも書かれているように、欧州は全体で一つなんです。送電線が全部つながっているので、全体でバランスすればいい。なので、変動する再エネ(太陽光・風力)が多い国もあれば、水力発電(水を落とせばすぐ発電できるので、太陽光や風力の調整役になる)が多い国もある。原子力が多い国もあれば、石炭火力が多い国もある。そのなかで再エネが多い国を取り上げて、日本と比較しても意味が無いのに、まだこういう書き方。
日本は、国の規模は大きいですが、北海道・本州(50Hzと60Hzの2つ)・四国・九州と、いくつかの島国に分かれているようなものであり、それぞれの間の送電線はあるがどうしても弱いこと、こうした地域間やそれぞれの地域内送電線を増強するにはコストと時間が必要なことくらいは書くべきでしょう。この記事では蓄電池や水素という中長期の話に展開していますが、それらのコストが下がるまでは送電線増強が必要なのですから。(再エネ=地産地消=送電線は必要ない、という訳ではありません。)
それから、再エネ導入の大前提である、再エネのコスト低下について、「規模の拡大で」欧州は低下が進んでいる、としか書いていません。でも、記事のグラフ(2016年の欧州と日本の太陽光発電のコスト比較)では設備費用に相当な差がついています。欧州も日本も、設備は中国や台湾から輸入しているはずなのに、しかも日本の方が輸送の距離は近いのになぜ設備でここまで差がつくのか?記事を読むとあたかも日本でも規模が拡大すれば再エネが安くなるように思われますが、本当にそう信じて大丈夫か?という検証は何もありません。
日本国民が再エネの応援のために負担しているお金は、この1年で2.4兆円です。累積では69兆円(!)という試算も。欧州に学ばなければならないのは、どうやって費用対効果高く普及させるかですよね。
欧州と日本。違いがあって当然。単なる違いではなく、日本が遅れていることもあれば、逆に進んでいることもあるでしょう。「違い」も「遅れ」もごっちゃに書かれている印象です。
そこから踏み込んだ内容は何もない連載でした。残念ながら。なので、わざわざ取り上げる意味も無いかなと思いましたが、何がどう残念かを書いてみようと思います
まず、この再エネの導入で欧州に遅れているという記事。
この記事でも書かれているように、欧州は全体で一つなんです。送電線が全部つながっているので、全体でバランスすればいい。なので、変動する再エネ(太陽光・風力)が多い国もあれば、水力発電(水を落とせばすぐ発電できるので、太陽光や風力の調整役になる)が多い国もある。原子力が多い国もあれば、石炭火力が多い国もある。そのなかで再エネが多い国を取り上げて、日本と比較しても意味が無いのは常に言われていることなのに、まだこういう書き方をしているのは、本当に「進歩が無いなぁ」と思います。
そんなところで留まるのではなく、日本は国の規模としては大きいものの、北海道・本州(50Hzと60Hzの2つ)・四国・九州と、いくつかの島国に分かれているようなものであり、それぞれの間の送電線はあるがどうしても弱いということ、それを増強する工事がどれくらいコストと期間がかかるかくらい書くべきでしょう。この記事では蓄電池や水素という中長期の話に展開してしまっていますが、それらのコストが下がるまでは送電線増強が必要なのですから。
それから、再エネ導入を進めるにあたって大前提となる再エネのコスト低下について、「規模の拡大で」欧州は低下が進んでいる、としか書いていませんね。でも、記事が掲載する欧州と日本の太陽光発電のコスト比較(2016年)では設備費用に相当な差がついています。欧州も日本も設備はほとんど中国や台湾から輸入しているはずなのに、しかも日本の方が輸送の距離は近いのになぜ設備でここまで差がつくのか。記事を読むとあたかも日本でも規模が拡大すれば再エネが安くなるように思われますが、本当にそう信じて大丈夫か?という検証は何もありません。
まだご存じない方がおられるので繰り返し言いますが、日本国民が再エネの応援のために負担しているお金は、この1年で2.4兆円もです。累積で60兆円超えるという試算もあり、相当のコストです。欧州に学ばなければならないのは、再エネのパーセンテージがどれくらいだという単純な比較ではなく、どうやってコスト効果高く普及させるかであり、それに一切触れていないこの連載を2回目で読むことをやめたのは、私のせいではありません・・。