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世界シェアから見る日本企業がウォッチすべき国とは?

グローバル競争が激化するなか、多くの日本企業は他の優良企業と熾烈なシェア争いを繰り広げている。日経新聞が発表した「ひと目でわかる世界シェア 市場争奪の構図」をみると、24品目で米国企業がシェア首位に立ち、次に日本企業がシェア首位の数で続くなど、まだまだ日本企業の底力を知ることができる。同時に、携帯通信インフラ首位のファーウェイのように、各産業でみられる中国企業の名前に中国の存在感が増していることがわかる。

どこの国の企業が存在感を発揮しているのかを整理するために、国ごとに各産業のシェア上位5社に得点付けをして、下図のようにまとめてみた。(70産業なのは、国との紐付けができない航空業界を除いたため)

下図をみると、まず目につくのが極東企業の存在感だ。最も高いスコアは米国だが、2位から4位は日本、中国、韓国と続いている。10年ほど前までは大企業が育たないことが中国の課題だったが、それも過去の話で主要産業でトップシェアを獲得する大企業が急増している。また、韓国企業も造船や情報・デバイス系産業で強さを発揮し、安定感がある。少し間が空いて、11位に台湾が続き、世界経済における極東4か国の重要性がうかがい知れる。

また、現在、急成長中のインド企業も無視できない存在だ。特に、日本のお家芸であった自動二輪の市場では、上位5社がホンダとヤマハ以外は急成長したインドの新興メーカーで占められている。インド国内の強力な内需に支えられ、自動二輪のようなインド企業による下剋上は今後10年間で急増することが予想される。

日本のお家芸が脅かされているという点では、即席麺の市場もピンチだ。首位は台湾の頂新国際集団であり、第3位にインドネシアのインドフードが追い上げてきている。インドネシアはユニコーン企業が2社(TravelokaとGojek)も出てきているなど、近年、急成長する国内市場を背景にして大企業が生まれ始めている。

次に注目すべきは、自国の市場規模が比較的小さいスイス、オランダ、スウェーデンといった国の国際競争力の高さだ。中国やインドは、かつての日本のように強大な国内市場を強みの源泉としている。しかし、EUという経済連合の中とはいえ、欧州諸国の多くは国内市場が小さく、企業活動の基盤とすることが難しい。そのため、グローバルビジネスを前提としたビジネスモデルの構築を強みとしている企業が多い。

日本企業の多くは、これまで国内市場の大きさを地盤として、直接投資やM&Aによって海外売上高比率を漸進的に高めていくという戦略をとることが多かった。しかし、国内市場が縮小し、反面、中国やインド、ASEANの国内市場が急成長する中、国内市場を前提とした戦略やマインドセットを改める時期に来ている。そういった意味で、日本企業は2つの眼を持つ必要があるだろう。1つは、成長する国内市場を足掛かりとしてシェアを伸ばしてくる新興国企業に追い抜かれないよう注視する眼だ。そして、もう片目で日本国内の市場に依拠しないビジネスモデルを構築するために、欧州のグローバル企業の経営手腕を学んでいくことが求められている。

© kunioik920

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