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令和時代を担う、新世代を体感せよ。

3月、京都・大阪出張があったので、兼ねてから興味のあったHOTEL SHE, OSAKA に一泊した。そこで、Z世代の思考を包まれるように体験し、殴られたような気持ちになった。

“HOTEL SHE,”は、L&Gグローバルビジネスが運営するソーシャルホテル。CCOの龍崎翔子さんは現在22歳、東京大学在籍中。Z世代の経営者である。

私自身は、ポスト団塊ジュニア世代のアラフォーである。ホテルにかかわらず商業施設など大きな規模の空間というのは自分より上の世代が経営者であることが多く、同世代ですら最近やっと機会が増えてきた体感。ミレニアル世代すら飛び越えたZ世代の思想に包み込まれるように感じたことははじめてで(だからこそ彼女はずば抜けてすごいのだろうが)衝撃だったわけだが、きっとここから10数年、彼らが30-40代を迎える頃にはこういった感覚を頻繁に感じることに慣れるのだろう(アートやファッションなどはその片鱗を感じることが増えてきた)。

Z世代の特徴といえば、下記記事にもある通り、

・デジタルネイティブ
・現実的
・経済的に堅実
・イノベーティブ

今回はこの中でも特に、現実的=完璧を求めない、経済的に堅実、という特徴を突きつけられ、強く体験した気がする。

HOTEL SHE, OSAKAは言うなれば、「ミニマル+映え」なのだ。最低限整っていて、映えポイントがあるという構成。

何もしないところは何もしない。するところだけする。例えばレコードが部屋ごとにセレクトされている。鍵のキーホルダーがかわいい。壁の色が水色でかわいい。ベッドに置かれているクッションがパイナップルのプリントでかわいい。1階に入っているコーヒースタンドがちゃんとしている。受付のスタッフがスエットだ、リラックス感かわいい。サインがかわいい。…などなど、数々の映えポイントは、龍崎さんのこだわりなのだろう。

一方で、そのほかのことはかなりミニマル。廊下などの共用部は、特に何もしていない。特に何もしていないように見せて、実はしている、ではなくて、本当に何もしていない。アメニティやタオルは、特別なものではなくただシンプルなものだし、便座は暖房便座ではない。部屋も広くはない。

私は、ここにショックを受けたのだと思う。ただ、よく考えたら、だからこそ安い。ちゃんと映えるところがあるのに、安い。そして、部屋は清潔で、安全で、よく眠れて、嫌だなと思うどころかここだけはな〜というところはひとつもない。このクオリティで誰もが泊まれる価格というのはとても経済的で、素晴らしいことじゃないか。

しかも!HOTEL SHE, は、オペレーションを日々改善している!というのをSNSでも公言するほど取り組んでいる。素晴らしい。イノベーティブ=問題解決意識が高いというところもあるのだろう。

じゃあなぜショックだったのか。

私たち(とあえていう)ポスト団塊ジュニア世代は、美しい場所の連続を見つけ浸り、その一部を切り取り、映えだ!と喜びを見出していた世代。ただ悲しいかな、均一化して美しい場所であることと安価であることは共存できない。非現実的。ただただ美しくただただ高いか、すべてがある程度美しくある程度高いのか、美しさを求めないから安いか、どれかしかなかった。美しいなら高くなるのは止むを得ない、無理なら美しさを諦める。ミニマル+映え=経済的であるラインを保つ、というのは新しいバランスだった。

考えればわかる、Z世代の方が効率が良い、クレバーだ。なるほど、物事をこうやって見ているのか…。同じ経営者として唸ってしまった。完全にカルチャーショックを受けたHOTEL SHE, OSAKA での滞在。

さらにZ世代の次、まだ名のない次の世代はどうなるのか?気になる記事を見てしまった。中学三年生にしてリアルな経営をする社長である彼女の事業内容はあまりにも等身大で、話題作りの名ばかりの大学生社長というのとはまったく種類の違う経営者であり「デキる子ども」と一言でいうのも難しい気がするが、新しい世代の台頭を感じずにはいられない。

平成から令和に移り変わり迎える新しい時代、こういった新しい価値観が徐々に台頭してくるのだろう。世の中がガラッと変わっていくのか、はたまた私たちは迎合しうまく調和しつつ進むことができるのか。令和は調和の時代、ミックスされ都度面白い化学反応が起き続けることを願う。心地よく馴染みのあるものばかりでなく、新しい価値観との出会いをどんどん体感していこうではないか。

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翠川裕美( KATALOKooo 代表 )
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