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毎朝6時配信のニュースレター、「モーニング・ブリュー(Morning Brew)」が100万人に購読される理由

ここ最近のニュースメディアを巡る状況を眺めるとサブスクリプション、ポッドキャストと併せて、「メール・ニュースレター」への注目も無視することができない大きなトレンドといえます。読者とのエンゲージメントを高め、ニュース消費を習慣化させる手段として、古くて新しいテクノロジーは今、黄金期を迎えているようです。

そんな中、まだサービス開始から4年ほどにも関わらず購読者100万人以上を抱える注目ニュースレター、「モーニング・ブリュー(Morning Brew)」の成長ぶりは目を引く存在です。ちょうど今年の2月には購読者100万人を超えたこともあり、各種メディアでも大きく報道されていました。2018年4月の時点で18万人程度だったことを考えると、たった1年弱で購読者数を5倍に成長させたことになります。

▶モーニング・ブリュー(Morning Brew)とは

2015年にミシガン大学の学生だった Alex Lieberman氏 とAustin Rief氏が始めた、ミレニアル世代向けに特化した、カジュアルで会話調で、気軽に読むことが出来るニュースレターです。テック(シリコンバレー)、金融(ウォールストリート)、ビジネスなどの分野に特化せず、広く主要ビジネスニュースを「さくっと」読めることを目的に配信されています。

毎朝6時に配信されるメールには株式市場の指標、テック、メディア、ビジネスの主要ニュースの概要が5つ程のコラムがまとめられてます。それぞれのコンテンツにはウォールストリート・ジャーナルなどの主要紙の記事へのリンクが含まれていて、あくまで取材活動はせず、主要なニュースのキュレーション、要約(若い世代向けの視点で)を売りにしています。開封率は40%を超え、多くの読者に支持されていることが分かります。

2018年の売上は300万ドル(約3.3億円)を超え、現在は主要ニュースレターの他にAI、IoT、ブロックチェーン、ドローン、ARなどの「エマージング・テック」に特化した「EMTECH Brew」をローンチし、今後はカテゴリー毎のニュースレターを順次展開していく戦略です。スタッフはこの夏には18人まで拡大させるとのことですが、20代を中心としたチームはスポンサー企業も既に50社以上獲得し、更なる成長を目指しているそうです。ただ、あくまでもフォーカスはニュースレターで、ビデオ、ポッドキャスト、イベントなどは今のところは視野にいれてない、という潔さです。

▶どのようにして短期間の間に100万人の購読者を獲得したのか?

Morning Berwの成長の秘訣として3つの注目ポイントがあります。

【1】秀逸な紹介プログラム
以下の図に示されているように、Morning Bewを友人や知人に紹介することで様々な特典が用意されています。3人に紹介することでプレミアムの日曜版のニュース・レターを購読できます。また10名に紹介することでメンバー限定のFacebookグループに参加することが出来ます。さらに25人、50人紹介することでTシャツやマグカップを得ることが出来ます。コストをあまりかけず、ロイヤリティを高める取組で、全体の2割くらいの新規購読者獲得に成功しているそうです。

【2】有料のプロモーション施策
実はお金をかけてプロモーションをしている、と別のポッドキャストで創業者が語っています。他の同じようなターゲット層を持つニュース・レターとのクロスプロモーションを行ったり、広告を出稿することで全体の6割もの読者を獲得したそうです。一方で読者の質を保つよう、厳選したプロモーション手法をとっているようです。

【3】ニュースレター配信への情熱
Morning Brewが生まれたきっかけは、創業者の1人が大学4年生の時に多くの後輩に対して就職活動のアドバイスをしていたことに遡ります。「ビジネスニュースをキャッチアップするためにどのようにしている?」との問いに、ほとんどの学生が同じ回答をすることに衝撃を受けたそうです。その回答とは、「ウォールストリート・ジャーナルなどを読むようにしているけれど、長いし、無味乾燥だし、端から端までほとんど読めない」という内容でした。ミレニアル世代に「刺さる」ような形でニュースが届けられてないのではないか、ならば自分がキュレーションして自分と同世代のミレニアル層に対してニュースレターの形で配信してはどうだろうか、ということが原点にあるそうです。

それから4年、創業者のAlex Lieberman氏は約1,400日の間、ほぼ4年間、一日も休まずにニュースレターを配信し続けているそうです。

ニュースレターはプログラミング技術やデザインスキルがなくても簡単に始められるのではないか、と思う人も多いかもしれません。ただ、情熱を持ち続け、1,400日もの間、休まず毎日書き続けることが出来る人はそう多くはありません。100万人の読者を獲得するにはこうしたスタミナあるのではないか、と感じます。

とはいえ、100万人の読者を目指すことを特に視野にいれなければ、何か自分が情熱を持つテーマに関し、ニュースレターという手段でメディアを創り出すことが自分にも出来るかもしれない、と思わせてくれるエピソードを、Morning Bewは提供してくれいます。

以下は2017年4月、ミシガン大学で行われた起業プレゼンテーションの際のAustin Rief氏のプレゼンテーション動画です。当時はまだ購読者数も10万人程度でした。自分で新しいメディアを創ってみよう、と思う人にはインスピレーションを感じられる内容かもしれません。ニュースレターを始めてみよう、と思う方の参考になれば幸いです:)

もう一人の創業者であるAlex Lieberman氏のインタビューはこちらで観ることが出来ます。



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(株)ソーシャルカンパニー代表取締役 (www.socialcompany.org) / 国内外のデジタルメディア・トレンドについて調査・コンサルティング・執筆等に取り組んでいます www.linkedin.com/in/hiroyasuichikawa/ 静岡県浜松市在住です

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