登下校時の子供の安全確保に関する関係閣僚会議が5月18日に行われ、通学路の安全点検の徹底と不審者情報への迅速な対応、子供に対する安全対策の強化がなされる。幼気な児童が、身勝手な理由で狙われ命を落とす事件が確かにこのところ多いように思われる。不審者情報への迅速な対応や子供に対する安全対策は今からでも徹底してやる必要があることは言うまでもない。

アメリカでは州によって違うものの一般的には12歳以下の子供を一人にしてはいけないことになっているようだし、ニュージーランドは14歳未満の子供を一人にしてはいけないという法律があるよう。12歳くらいまでは保護者か保護者相当の人の観察が子供には必要だ、というのが世界基準のように見える。

翻って日本はどうか。日本は安全な国だという意識が強すぎるのかもしれないが、子供の一人歩きは一般的だ。そして一人で登下校していても私も含めて、まわりも特に変だとも思わない。10時近い電車に塾帰りの子供が乗っていることもある。日本は元来安全で、一人でお留守番できるのは“偉い”ことだったこともあるのかもしれない。

しかし、やはり悪質な事件に遭遇すると、その度に一人歩きの子供に違和感を覚えない日本の日常にこそ、そろそろ警戒すべきなのだろうと思う。少なくとも大人に比べて連れ去りが容易でリスクの高い子供の場合、一人の時間を減らす工夫が必要になっている。集団登下校、という制度も有効だろうし、学校と家庭の連携や行政でできることなどの役割分担も見直す必要があろう。諸外国では当たり前のようだが、学校や塾、習い事などからの子供のピックアップの際、親同士の都合をあわせて他家族の子供を互いに預かる仕組みを作るなど保護者間の工夫も必要であろう。

幼児教育・保育の無償化や待機児童ゼロに向けた策も重要かもしれないが、小学生の子供の安全を守る仕組みが軽んじられているように見えるのは随分とバランスが悪い。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30324780Q8A510C1CC1000/

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