海外事例から学ぶ!コミュニティマーケティングの5つの成功事例と重要ポイント
日頃からコミュニティ醸成やコミュニティマーケティングに関する情報にアンテナを張っていますが、先日、海外のメディア「P2P Marketing」で "Community Marketing: The Best 2024 Detailed Guide [+Case Studies]"(コミュニティ・マーケティング ベスト2024詳細ガイド[+ケーススタディ])という記事を見つけました。
その中で、海外のコミュニティマーケティングの事例が紹介されており、とても分かりやすかったです。そこで今回は、その記事の翻訳を中心に、コミュニティマーケティングのタイプや事例など、興味深い内容があったのでこちらで紹介したいと思います。
コミュニティ・マーケティングの2つのタイプ
コミュニティ・マーケティングには2種類しかなく、その仕組みを両方共に理解することで、どのアプローチが自分自身のビジネスに有効かを知ることができると書かれています。
1.オーガニック・コミュニティ・マーケティング
これは、企業側が直接関与しなくても、自分の顧客が自然にあなたのブランドのためのコミュニティを発展させることを示しています。オーガニックコミュニティの例としては、インスタグラムのファンページなどがあります。また、Netflixの番組やビデオゲームなど、1つのトピックを中心としたFacebookグループもあります。これらのオーガニックコミュニティは何か特定のテーマやサービス、商品に対しての興味関心をベースに、ユーザー・消費者が自分たちの意思でコミュニティを立ち上げ運用しているのです。
このような形が理想的なのは、企業側がコミュニティを醸成するリソースを必要とせず、口コミでコミュニティが広がっていくからです。しかしこれには、ユーザー・消費者によるレビューや推薦、製品の利用事例などがあることで、ソーシャルプルーフが機能していることが大切です。そのことで新しい顧客に安心感と信頼感を与えているのです。
オーガニックコミュニティで考慮すべきもう一つの側面は、ユーザー・消費者が共有したり投稿したりする内容をあまりコントロールできないということです。あなたのブランドに関する誤った情報が広まるのを避けるために、この要素を考慮する必要があります。
2.スポンサード・コミュニティ・マーケティング
これは、企業がコミュニティの発展と成長に資金を投資することを示しています。もちろん、これはオーガニックなアプローチよりも確実です。しかし、すべての企業がコミュニティマーケティングに投資する資本を持っているわけではありません。
オーガニックな方法とは異なり、このアプローチの場合はコミュニティをよりコントロールすることができます。この要素は理想的ではあり、コミュニティのメンバー同士がどのように交流するかを設計・調整することができます。
スポンサード・アプローチの場合、資金を投資しておけばコミュニティが勝手に成長するだろうということを期待してはいけません。優れたブランド評価、ソーシャルプルーフ(社会的証明)、そして参加者に合わせた製品を提供することにしっかりと取り組むことが大切です。
5つのコミュニティ・マーケティング事例
オンライン・コミュニティを始めるにあたり、さまざまなブランドがどのようにこのマーケティング手法から利益を得ているかを説明するため、トップクラスのコミュニティ・マーケティング事例をレビューしました。
コミュニティマーケティングのケーススタディから、多くの学びが得られます。実際にどのように機能するかを、さまざまなブランドのケーススタディを通じてご覧ください。
ここでは、特に学びの多い素晴らしい事例をいくつかご紹介します。
1. Starbucks (スターバックス)
スターバックスは、単なるコーヒーショップにとどまらず、オンラインコミュニティを開発しました。特筆すべきは、従業員を「パートナー」と呼ぶことで、彼らがインスタグラムのコミュニティを通じて経験をシェアしやすくしています。これにより、より多くのユーザーがブランドに興味を持つようになりました。また、ソーシャルメディアコンテストやボランティアマッチングサービスなど、多くのソーシャルイニシアチブプログラムも実施しています。
スターバックスのリワード・プログラムも魅力的で、メンバーは特定のアクションでスターを獲得し、リワードを楽しむことができます。このプログラムはモバイルでも利用可能です。
結果
スターバックスはオンラインコミュニティを通じて、15万件以上のコミュニティマーケティングのアイデアを生み出し、そのうち数百件を実施しました。これらのアイデアは消費者自身によるもので、スターバックスが10億ドル規模のフランチャイズになるのに大いに貢献しました。
重要なポイント
従業員にも会社の一員であることを感じてもらうことが重要です。従業員のモチベーションが高いほど、コミュニティへの参加と促進が容易になります。ソーシャル・イニシアチブは地域社会を結びつけるためにも不可欠です。
なお、スターバックスが日本でポイントプログラムを開始した時の記事を見つけたのでシェアします。
2. Lego Ideas (レゴ・アイデア)
レゴ・アイデアは、レゴファンが製品デザインに参加できるオンライン・コミュニティです。レゴ愛好家なら誰でもアイデアを提出でき、採用されたアイデアは売り上げの一部を受け取ることができます。
レゴはこのコミュニティを通じてファンを魅了し、フィードバックを集め、顧客のロイヤリティ(愛着心)を高めています。また、コンテストやコンペティションの勝者を決めるために、コミュニティ・メンバーに投票させることで、さらにエンゲージメントを高めています。
結果
レゴはオンライン・コミュニティの発展により、1年間で顧客の売上が22%増加し、全体の収益が27%増加しました。
重要なポイント
顧客に製品のデザインや開発に参加してもらうことは、エンゲージメントを高めるための最良のコミュニティ・マーケティング・アイデアの一つです。採用されたデザインに対するインセンティブも、顧客にビジネスに投資してもらうための戦略的な手段です。
なお、レゴ・アイデアに関しての記事を見つけたのでこちらにシェアします。
3. Adidas Creator’s Club (アディダス・クリエイターズ・クラブ)
スターバックスのリワード・マーケティング・アプローチと同様に、アディダスもリワード・プログラムを中心にオンライン・コミュニティを成長させました。興味を持った参加者は、ウェブサイトを通じてこのコミュニティに参加し、ミニゲームをプレイしたり、イベントやワークアウトに参加したり、コンテンツをアップロードすることでポイントを獲得できます。
アディダスは、顧客の知識からすべての特典やアクティビティを設定しています。この戦略は、アディダスの長い経験に基づいています。
このようなコミュニティ・マーケティングのアイデアが特にユニークで印象的なのは、アディダスが顧客のフィードバックに基づいて報酬を調整しない点です。代わりに、アディダスはバイヤーに対する深い理解をもとに、すべての報酬と活動を設定しています。アディダスが長年にわたってこの分野に携わってきたことを考えると、彼らが顧客のニーズを熟知しているのは当然のことです。
結果
アディダスはオンライン・コミュニティの結果に関する情報を公表していません。
重要なポイント
アディダスはマーケティング活動を最小限に抑え、ユーザー生成コンテンツを生み出すことで、顧客にインセンティブを与えています。また、ゲーミフィケーションを利用して顧客の関心を引き、ポイントを貯めることに時間を費やすよう促しています。
4. Charlie Hustle (チャーリー・ハッスル)
チャーリー・ハッスルは、カンザスシティのブランドをあしらったスポーツTシャツを販売し、スポーツファンを結びつけています。販売するアパレルは、購入者がビンテージTシャツを誇らしげに着ることでコミュニティに所属している感覚を得るアプローチを実現しています。
またスターバックスと同様に、チャーリー・ハッスルも社会的取り組みを行っています。彼らは、売上から得た資金を教育プログラムなど、カンザスシティのさまざまな社会プロジェクトに投資しています。
結果
チャーリー・ハッスルのオンライン・コミュニティからの正確な実績情報はありません。
重要なポイント
チャーリー・ハッスルは、ビジネスの延長としてオンライン・コミュニティを開発したのではありません。彼らのビジネス自体がひとつのコミュニティなのです。また、彼らは同じ街の人々という既存のコミュニティから新たなコミュニティを構築することを選びました。
5. Beauty Insider Community – Sephora (ビューティー・インサイダー・コミュニティ - セフォラ)
メイクアップファンやスキンケア愛好家を集めて、セフォラはウェブサイトからアクセスできるオンラインコミュニティを作りました。このコミュニティでは、美容に関心のある人たちがヒントやコツ、経験を共有し、お気に入りのセフォラ製品について話すことができます。
メンバーは長年の経験を持つ美容の専門家である必要はなく、あらゆる背景を持つ美容マニアが集まっています。
このオンラインコミュニティには5つの主な要素があります。まず、ホームページで一般的なディスカッションが行えます。次に、コミュニティメンバーが特定のトピックについて会話できるグループがあります。また、評価やレビューのセクションがあり、セフォラはユーザーが作成したコンテンツを得ることができます。
結果
セフォラには現在500万人以上のコミュニティメンバーがおり、その80%がセフォラの売上に貢献しています。また、ブランド・エンゲージメントを22%増加させました。
重要なポイント
このケーススタディから学ぶべき点は、ユーザー生成コンテンツの促進だけではありません。コミュニティ内にグループを作るというアイデアにも注目してください。もしあなたのコミュニティがセフォラのように多様であれば、同じ関心を持つ人々が特定のトピックについて議論できるように、より小さなグループを作ることが理にかなっています。
まとめ
コミュニティベースのマーケティングは、オンラインコミュニティの構築が効果的であるケースが多く見られます。そして今回紹介した事例からも分かるようにユーザー・顧客が自分の居場所やつながりを求めています。コミュニティを育てるには時間と労力が必要ですが、一度その流れができると、多くの仕事はコミュニティのメンバー自身が能動的に動いてくれます。
ぜひ一度、自分たちの事業にコミュニティをどう活用できるかを考えてみてください。そして、自分たちのコミュニティマーケティング戦略を強化していくことを検討いただければと思います。