新型コロナ感染収束をマラソンのゴールと例えるならば、いまようやく折り返し地点を過ぎたあたりだろう
政府は9日、新型コロナウイルスの緊急事態宣言に準じた措置をとる「蔓延防止等重点措置」の適用対象を大阪、兵庫、宮城に続き、東京、京都、沖縄の3都府県を追加すると決めました。
大阪府は重点措置の期間中、大阪市の飲食店に午後8時までの営業時間短縮を要請しており、飲食店ではマスク未着用の客の入場を禁止し、アクリル板の設置などを求めるほか、マスク会食の徹底を要請しています。さらに市内の飲食店を訪れて感染防止対策の徹底を求める「見回り隊」を結成し、府と市の職員40人が対策が徹底されているか調査することも対策に盛り込みました。
これまでの対応では飲食店側がいくら対策を取っていても来店した客側がルールを守らなければ感染リスクは上がってしまいます。そもそも客側が感染対策の基本を正しく理解し、確実に実践していれば、時短要請やアクリル板の設置などをしなくても感染リスクは最小限に抑えられますので客側への要請と見回り隊による巡視は一歩進んだ対策と評価できると思います。東京でも是非このような取り組みを実施していただきたいと思いますが、人口が多く地域によって繁華街や飲食店の傾向が異なる東京では、都が中心となるのではなく、市区町村が主導となって行うべきであると考えます。
国内では再び感染者の増加が深刻となり、その一因として従来型より感染力が強いとされる「N501Y」という遺伝子変異の影響が示唆されています。もちろん、感染力が強いことが感染者の急増の一因となっているとは思いますが、その背景にあるのは感染対策を怠っている一部の人たちの行動であり、拡がりやすい変異株であっても基本的な感染対策に変わりはありません。すなわち、たとえ集団の中の一人が怠っていても、周囲がしっかりと対策を取っていれば拡がりを最小限に抑えることは可能なわけです。
このような現状の中で、感染症に対する最も確実な対策である高齢者向けワクチン接種が一部の自治体で開始されることになりました。優先順位としては医療従事者の次にあたるカテゴリーではあるものの、人口比などにより新型コロナ患者さんの診療を行っている医療従事者でも接種していない方々は少なくありません。そもそもワクチンの本数が対象者に比してきわめて少ないところに問題がある訳ですが、一部でも開始されたということで、収束をマラソンのゴールと例えるのであれば、折り返し地点に到着したとでも言えるでしょう。最後までレースを続けるためにはペース配分を考えなければなりませんし、途中で給水をする必要もあります。一定のペースで走ることを日常的な感染対策と例えるのであれば、ずっと走り続けていては最後まで体力が持ちません。途中で給水をすることは走りながら行うエネルギーの補給です。しっかりとした対策を取りながら(=走り続けながら)できる楽しみで息抜きをする(=給水をする)ことが自粛で疲れる(=途中でバテる)ことなく無事ゴールすると考えてみてはいかがでしょうか。
「何故感染するのか・させるのか」「どうすれば感染を最小限に抑えられるのか」「そこまでしなくてはいけないのか」「意味のない対策で疲れていないか」などをしっかりと理解したうえで、国民にワクチン接種がある程度浸透するまでは体力を温存しながら走り続けていかなくてはなりません。
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