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イベントの行方:コロナアプリの可能性=ドイツから

ドイツ政府はこのほど、政府の「コロナ警告アプリ」にイベントや商店で使えるチェックイン機能を実装させました。今回はイベント関係者としてドイツのコロナアプリについて考えてみます。

日本の状況

最初に日本の状況を確認しておきましょう。直近の日経新聞の社説では、日本のコロナアプリに関連して、厚生労働省のシステム開発・管理能力の低さが指摘されています。

ドイツのコロナアプリとは?

ドイツのコロナアプリは業務ソフト大手のSAPと通信大手のドイツテレコムが開発しています。基本的な機能はBluetoothによる通信機能を利用し濃厚接触者になった場合に通知を受け取れるというもので、日本のコロナアプリと原理は変わらないと思います。

政府の感染研究機関ロベルト・コッホ研究所(RKI)の資料によると、2021年2月18日時点でのダウンロード数は2570万回となっています。ドイツの人口は約8000万人ですから、単純に3割を超える人たちが利用しているようです。

ますます充実する機能

RKIはコロナアプリを積極的にアップデートしています。トルコ語やポーランド語などの多言語に対応したのを皮切りに、ベルギー、フランス、オランダなど隣国11カ国でも利用できるように政府間の調整を行いました。

その後、日々の感染状況に関する統計データが表示されるようになり、年末には「接触日記」機能が追加されました。この機能はいつ、誰と、どこで、どのくらいの時間、会ったといった状況をメモしておけるものです。これは保健所などが実施する追跡調査を支援するものとなります。2週間が経過したデータから自動的に消去されます。

そして今月には新たに商店やイベントで利用できるチェックイン機能が実装されました。

チェックイン機能とは?

QRコードを活用したこのチェックイン機能は、イベントや商店を利用し、もし会場で感染クラスタが発生した場合に濃厚接触の可能性ありとして通知を受け取ることができるものだと思われます。つまりユーザーが感染拡大予防に貢献できるということです。

そしてこの機能の大きな特徴として挙げたいのが、イベントの主催者や商店の店主が自らQRコードを作成できる点です。

チェックイン機能の価値

イベントの主催者や商店の店主がQRコードを作成できるとどうなるのでしょう?

ドイツ政府は感染対策の一環として、イベントの参加者や施設などの利用者の個人情報を記録し一定期間保管することを義務付けていました。実はこの記録と保管が小規模なイベント主催者や店主にとっては日常業務の負担になっていました。例えば映画館では利用者は上映ホールに入場する前に用紙を毎回渡され記入する必要がありました。つまり大量の紙が発生していたわけです。

いつ保健所から問い合わせがあるのか分からない大量の紙の情報の管理、これがこのアプリを活用することで解消されそうです。

こういったチェックイン・アプリはドイツでは民間企業が開発した「Luca」が注目されていましたが、開発過程に不明瞭な点があるなど政府としても推奨しにくい面があったようです。

今回、政府がこの機能を用意したことはイベント関係者にとっても朗報といっていいのではないでしょうか。少なくとも筆者はそう感じました

イベントは再開できるのか?

ドイツではいわゆる「ロックダウン」が昨年11月から継続しています。直近では英国由来の変異株の流行によりイベント再開はまだ見通せない厳しい状況が続いています。しかし、今回のコロナアプリにおけるイベント主催者が利用できる新機能の追加は、政府によるイベント関係者(特に個人や零細企業)への支援策は忘れていないぞというメッセージ性もあるように感じました。

そして、ドイツ政府のコロナアプリはさらに進化するようです。ドイツの大手新聞『ツァイト』の記事によると、夏頃をめどにコロナ・ワクチンのデジタル接種証明の表示機能を実装する予定だそうです。

こういった様々な対策がどの程度奏功するのかは筆者には分かりませんが、イベントの再開や社会全体の復帰に向けて対策は「現在も進行中」なのは伝わってきます。今後、コロナアプリの重要性はさらに増していくのではないでしょうか。みなさんはどう思われましたか?

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