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まずは「規格外」マインド ぶっ壊せ

先日、大根の価格が下落しているというニュースをみました。理由は、暖冬で大根が育ちすぎて「規格外」になったことが原因です。大きくなりすぎたり、形が悪かったりして「規格外」になると、お店で売れないと農家が嘆いていました。冬になり大根の煮浸しやおでんがおいしい季節なのに「なんてもったいない」と思ってしまった視聴者は私だけではないと思います。

消費者と生産者をつなぐ橋渡し役の不在が原因で起きてしまう、もったいない廃棄処分。「規格外でもいいので売ってください」。この気持ちをどうにかして生産者に伝えることができないか。こんな問題の解決をめざす動きをディスラプション・地球に生き続ける(4)で紹介しています。

記事で登場する、デンマークの大学生が始めたスタートアップ、トゥー・グッド・トゥー・ゴーは、消費者と小売店をつなぐサービスを提供しています。スマートフォンアプリを使って、売れ残りの食品に悩む店と、割安に手に入れたい消費者を結びつけています。世界15カ国、3万7000店の協力を得るネットワークを作り、捨てられていたはずの2900万食を救ったそうです。

「小売店と生産者」「小売店と消費者」だけでなく、「生産者と消費者」を結びつける仕組みがあれば、もっとフードロスを減らせるのではないでしょうか。恐らく、形や大きさなど「規格外」を理由にした廃棄は相当な量に上ります。国連によると、野菜や果物は生産量の45%、魚は35%が食卓に届く前に捨てられたり失われたりしています。とてつもない量です。

企業でも「食品ロス」の削減をめざし、賞味期限の表示を「年月」に改める動きが広がりつつあります。賞味期限を気にするあまり、1日でも「賞味期限切れ」になったら、捨ててしまう人もいるのではないでしょうか。学生時代にコンビニでバイトしていたときに、賞味期限の時間が来る前に、陳列された商品の表示を確認し、廃棄処分していた記憶があります。1~2時間過ぎただけで、食品の品質がどれだけ傷むのでしょうか、疑問です。

食品廃棄は生産者や販売者だけでなく、消費者の段階で廃棄される量も多いと思います。たとえば、購入したけど食べずに捨てる、腐らせてしまったなどです。私も料理しようと思って買ったキャベツを数週間放置してしまい、真っ黒にしてしまったことがあります。私たちが食への考え方を改め、より柔軟に(賞味期限への考え方)、より大切にする意識を強く持てば、身近なところから、食品ロスを防げるような気もします。企業だけでなく消費者も身近な生活のディスラプションに挑戦することで、世界的な課題解決につながるかもしれません。

ディスラプションは、既存の枠組みを破壊するぐらいのインパクトある現場を取材し、経済や社会、暮らしに及ぼす影響を探るコラムです。

(デジタル編成ユニット 島田貴司)