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ビヨンセ「COWBOY CARTER」に込められた「抵抗」

ビヨンセが25日(現地時間)、NetflixでNRGスタジアムより生中継されたNFLのヒューストン・テキサンズ対ボルティモア・レイブンズ戦のハーフタイムショーに登場。このパフォーマンスを私は毎日50回くらい見ては泣く、という一週間を過ごしていた。アルバムCOWBOY CARTERで掲げた「カウボーイ文化やカントリー音楽のルーツは黒人カルチャー」というテーマをライブパフォーマンスに織り込むと同時に、楽曲のストーリー性もシームレスに描き出してて凄すぎた。

ビヨンセの「YA YA」、こんなに陽気なパフォーマンスだけど歌ってることはアメリカの格差や差別について。

先祖はアメリカで生き、死んだ
歴史は消せない
新しいアメリカを探してない?
一生懸命働いても給料は半分しかもらえないことに疲れてない? 家
が燃えても保険は降りない

そんな辛い人生でも踊り狂って楽しもうじゃないかと中盤からはダンスチューンに振り切るが、最後の歌詞に「Vote」と来るのがこの曲の本質。 「赤、白、青」モチーフを使いながら、「多すぎる赤」のリリックでは人種差別による流血や保守性のダブルミーニングを持たせる。

今回のパフォーマンスで特に印象的だったのは、ビートルズのBlackbirdのカバーを黒人女性カントリーシンガー4人と一緒に歌ってからFreedom→Ya Yaに繋げたこと。 ポールマッカートニーが元々60年代のアメリカの公民権運動に思いを馳せて書いた曲を、「連帯」という形で再定義しているのだ。

そしてパフォーマンスに参加したのはアーカンソー初の黒人ロデオクイーン。先月発売された『SNS時代のカルチャー革命』でこのカウボーイ文化について詳しく書いていますが、カントリー音楽やカウボーイ文化が黒人の歴史に由来するという事実を再びここで高く掲げる。

ゲストで参加したShaboozeyは大ヒット曲「Bar Song」でHot 100のチャートの歴史をぬりかえたのに、ビヨンセに対して過去に差別的な扱いをしたカントリーミュージックアワードは彼に賞を一切渡さなかったそしてこの「ビヨンセボウル」はCMAの5倍の視聴率を獲得した。

https://www.rollingstone.com/music/music-country/shaboozey-cma-awards-controversy-1235174910/

このビヨンセのアルバム「COWBOY CARTER」とその社会的・文化的意味については講談社より出版した『SNS時代のカルチャー革命』の第5章でめちゃくちゃ詳しく書いてます!!興味ある方はぜひ。





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竹田ダニエル
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