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スターバックスのアレルギー対応フードの話

年末、残業が重なった妻は仕事納めと同時にダウンした。だから、今日から冬休みに入ったぼくと子どもたちは思い切って3人で森美術館に出かけることにした。

森美術館は、大晦日も開館している稀有な美術館で、そういえば大晦日に行ったことも何度かあったなと思う。数々の展覧会をここで見てきたが、子ども2人を連れて行くのは初めてだった。

片道1時間弱の場合、とにかく行き道が大変だ。2歳児が歩き回りたがるからだ。電車の中で。iPadにアニメ『パウパトロール』をダウンロードしておき、運良く優先席を譲ってもらったので、2人を座らせてアニメを一緒に見た。日比谷駅で乗り換え、4駅移動して六本木へ。

到着して11時半を過ぎていたので、まず、昼ごはんを食べようと考える。サブウェイがあったはずだが、見当たらない。スターバックスが目に入る。「たしか、ソイミートのフードがあったな」と思い出しながら、期待半分の気持ちでスタバを覗く。なぜなら、2歳の息子は多種多様な食物アレルギーを持っていて、チェーン店のご飯はほとんど食べられないからだ。

接客してくれた店員さんが、「PLANT BASED」というラインを紹介してくれて、その中にホワイトソースとソイミートボールのサンドイッチがあった。

成分表示を見たら、息子が食べられるものだけでできていた。

「ぼくもこれにします」といって、息子と同じものを選んだ。娘は自由に、ウィンナーのサンドイッチを選んだ。3人でむしゃむしゃとサンドイッチを食べた。

何気ないことだが、これが本当に嬉しかった。娘はスタバなどでサンドイッチを食べられるが、息子は食べられない。出先で昼食に困ったとき、コンビニで昆布のおにぎりなどを買って与えることも多く、同じものを食べられないのが辛かったし、罪悪感を募らせていた。

だから、クリームとかミートボールが入っているものをモリモリみんなで食べられるなんて、これまで経験したことがなかったのだ。

息子がぽろっと「うれしい」と言った。そう言いながらサンドイッチを頬張るのを見て、思わず涙ぐんでしまった。「おいしい」を越えて「うれしい」という感情が、この人の中に湧いているんだなと感じた。

食物アレルギーをもつ子どもは年々増加傾向にあり、食品メーカーのなかではアレルギー対応の食品開発に取り組んでいる企業も少なくない。たとえば、日本ハムは、災害用の食品としてアレルギー対応食を導入している。

しかし、さまざまなアレルギー対応食が各メーカーから出されるが、いずれも他の食品と比べて価格が高いのだ。ちょっと高いお金を払ってでも、楽しい食事をしたいと思うので、ちょっと高価なアレルギー対応スイーツを頼んでみたこともあるが、本当に特別な日にしか食べようと思えない。

一般的に知られたコーヒーチェーン店では、乳製品や卵を使ってないフードがないこともあり、まだまだ世間にアレルギーの問題が知られていないように感じていた。

そんななかで、何気なくのぞいたスターバックスで、アレルギー対応食が充実していたのには驚いたし、感動した。

アプリでは、成分表示を検索することもできる。多様な人へのブランドとしての配慮の姿勢を、非日常のキャンペーンではなく、日常的実践として提示してくれたことを、とてもありがたく感じた。

サンドイッチを平らげた後、対応してくれたスタッフさんに「アレルギーがあるので、こういうサンドイッチを食べられなくて、今日初めて食べられたんです。嬉しかったです。ありがとうございました」と伝えた。わざわざ言葉にして伝えたいほど感動したのだ。

さて、肝心の森美術館にはこのあといく。とても良い展覧会をみたと言う話は、次の記事に書く。

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臼井 隆志|Art Educator
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