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ドラッグ・ロスとは何か

ドラッグ・ロスという言葉が話題になっています

日本語に直せば「医薬品の喪失」という言葉になるでしょうか
「喪失」というとそもそもあったものが奪われたような感じがしますが、実際には「海外で開発された薬が、日本で販売されない」という状況を指しています。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD181M30Y4A110C2000000/

少し前に話題になった言葉で、「ドラッグ・ラグ」という言葉がありました。日本語に直せば、「医薬品の(供給の)遅れ」となりますでしょうか。

そもそもドラッグ・ラグは、日本での承認審査に時間がかかるために、本当ならすぐに薬が届く人へ、薬が届かない状況を指していました。

これは大きな問題です。
しかし一方で、なぜ、薬の承認審査に時間がかかるかと言えば、薬はそもそも益にもなるし害にもなる存在だからです。益を多くして害を減らそうとすれば、その審査に時間がかかるのは当たり前です。

なので、そこに必要なのはバランスです
必要な人に届き利益を与えるように、一方で、不必要な人が害を被ってしまわないように。
日本は国民皆保険ですから、医薬品の多くは保険の適用となります。だとしたら、「お金ばかりかかって、人の幸せに役立たなかった」という事態も避けねばなりません。

ドラッグ・ラグに関しては、そうした慎重な議論と取り組みが進み、現在では諸外国と比べて審査のスピードはそん色ないところまで改善されたとされています。

今回問題になっている「ドラッグ・ロス」に関しても、同様に、「単にお金をじゃんじゃん使って海外企業に日本でも薬を販売してもらえばオッケー」という問題でもありません。

現状、すでに医薬品に関しては日本は輸入超過の状況にあり、日本の貿易赤字の大きな割合を占めています。海外からの輸入を推進する施策も大事ですが、国内でちゃんと医薬品を開発・生産できる体制をつくるための投資に力を入れたほうが、長期的な目線では良い結果を生むかもしれません。

もちろん、いま本当に苦しんでいる人がいて、その助けに本当になるものであれば、何とかして社会として支えるべきものです。
一方で、いま本当に苦しんでいる人がいない、もしくは、いるとしてその助けに役立たないものがあるとすれば、それは、認めないほうがいいものです。

「ドラッグ・ロスは良い/良くない」という極端な考え方ではなく、「海外にはとても良い薬がたくさんあるのに導入されてい」状況なのか、それとも「そこまで重要な薬ではないものは導入できていない」状況なのかというところまで見据えた柔軟な議論が進んだら良いと思います

#日経COMEMO


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