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シンガポールで見た日本の未来理想図(3) 少子高齢化なのに老後不安なし

© yokohanawa

シンガポールで豊かな老後生活を送るには世帯で1億2000万円程度必要という声をよく聞きます。物価が高く、社会保障は日本よりも薄く、老後や病気の時の日本にいる時以上にお金が必要になってきます。そんななか、なぜ、老後不安が日本と比べると少ないのでしょうか。少なくとも、若者が老後のお金を憂いて遊びに出かけないといったことはシンガポールではあまりありません。

シンガポールの良いところとして、高齢者が働きやすいということが挙げられます。事業主は67歳まで継続雇用を申し出る義務があって、ガイドラインがあり日本のように大幅に賃金カットが行われることも少ないからです。長く働くことによって老後不安を大きく減らすことができます。

シンガポールでの高齢者の1ヶ月の平均的な支出が日本と同程度で月30万円程度になります。そのため、25年間で9000万円程度、賃貸で年100万円程度上乗せが必要ならばもう2500万円程度かかります。予備費も含めると1億2000万円程度になるのです。

この莫大なお金をどうやって貯めていけば良いかというと、CPFと言われる確定拠出年金に近い積立制度が利用されています。それとは別に税金の優遇のある非課税の口座や投資型の保険もよく利用されています。金融先進国のシンガポールや香港の方が金融商品がよく、高い利回りも狙えるという理由もあります。

対して、日本で老後を送るにはいくら必要でしょうか。総務省の家計調査(2015年)によると、年金世帯の月間の平均支出は、27万5706円(年間330万円程度)です。25年間で8271万円程度が必要です。こう見ると、シンガポールとそれほど変わらないことがよくわかると思います。

日本では公的年金が支給されます。現在の年金世帯の平均収入は月21万3379円(年間約256万円)、25年間で約6401万円です。必要総額に対して年金収入を引けば、赤字額は約1870万円と小さくなります。 ですが、少子高齢化によって今後、人口構成が崩れていけば、年金支給年齢の繰り上げや支給額の減少なども考えられます。

そのため、各人が不足分を確定拠出年金(401k)などで準備しなくてはならなくなります。確定拠出年金、つみたてNISA、副業解禁などから政府や企業からのメッセージを考えると、政府や企業などから保証されるものは徐々に減っていき、シンガポールのような小さな政府に徐々にシフトしていこうとしていることが推測されます。

もう一つ、シンガポーリアンが事あるごとにいうのが、「子供は私の年金」という言葉です。実際に子供に教育投資をして、子供たちが良い大学に行き、自分たちよりもステージが上がり、老後の親のお金のサポートをするというのもごく一般的な考え方なのです。

次回は「ジム・ロジャース氏など富裕層もハマる 世界標準の人材を作る教育」をお伝えしておきます。 (4)へ続く

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