Fortuneのグローバル企業ランキングからアメリカと中国の未来を考察する
今日はアメリカ雑誌「フォーチュン」が発表した2019年のグローバル企業ランキング500リストの話題を紹介。
「世界の上位500社のリストの発表は企業にとってのオリンピックのようなもの」と評されているみたいです。企業にとってはもちろん名誉、そして大国の相対的な力の高低の変化を間接的に示すことになります。
今年の最新リストでは「Wal-Mart」が6年連続で世界1位となり、「中国石油」が「国家电网公司」に代わり、2位になりました。リストの中に中国企業は119社あり(台湾のものを除く)、これは121社の米国とほぼ同数。 さらに「格力電気」「Xiaomi」などが世界トップ500にランクインしてきました。ランキングの結果からいろいろ見えてきます。
■中国の競争力はどのくらい向上したのか
この20年間で中国企業の強さはどう変わっているのかを、DT財経さんがまとめておりましたのでご紹介。この20年間アメリカと中国のデータを分析してます、まずはランクイン企業数の推移↓
一目瞭然ですね。中国が爆伸びしてるのに対してアメリカは緩やかに下ってきてます。1998年では中国でTOP500入りした企業はわずか6社、アメリカの30分の1に過ぎなかったそうです。 それが今やほぼ同数に並びました。
■アメリカと中国の産業構成の違いも見えてくる
中国とアメリカとで強い企業が所属している産業についても対比でまとめています。このタイプのグラフ見やすくて好きです、日本語を足しました↓
中国が社会主義国家ベースということもあり国営企業が多いことから資源産業と金融に集中していることがわかります、これは基本的には今でも一緒。
そしてこれは直近5年間の変化を示した図。アメリカはこの5年間で、通信やコンピューターなどのハイテク産業が大きく進歩しました。GAFAやカリフォルニアの企業ですね。(「互联网」ってのがネットサービスって意味、あとはだいたい漢字一緒ですね)
5年間で中国と米国で最も進歩した上位10業種について。中国側では不動産会社が大きな進歩を遂げた。さらに、インターネット、電子機器、コンピューター、航空宇宙、防衛の分野での中国の投資と進歩もすごい。 Alibaba、Tencent、Haier、中国航天科技集团(China Aerospace Science and Technology Group)などの企業は米国と積極的に競争できる分野で成長中。
ただDT財経の分析は冷静。米国は、ヘルスケア、医薬品、食品などの生命と健康の分野で中国を大きくリードしていて、さらに強化を続けている。さらにクアルコムやインテルなどのチップ独占は、ZTEやHuaweiに対する米国の制裁で、ここにも大きなアドバンテージを持っていると。
■未来予想、今後はどうなっていくのか
しっかり裏をとって今の事実を伝えるのはクラシックなメディアに任せましょう、ここでは不確実な将来がどうなっていくのかについて。
トップ500は現在の戦いであり、将来の戦場はユニコーン。中国の現在の産業の強さのパターンはアメリカに及ばないでしょうが、ユニコーン企業たちは中国にとって未来の翼になることが期待されています。
DT財経がCB Insightsを使ってグローバルユニコーンのリストをチェックした結果↓
2019年6月19日の時点で、米国のユニコーン企業数は178社で圧倒的に1位です。 一方の中国は91社、これは米国のほぼ半分に相当し、3位の英国の約4倍ですね。もうアメリカと中国の一騎打ち状態、日本はどこ。。
ここでもソフトウェア、フィンテック、ヘルスケアにおいてアメリカが圧倒的にリードしています。しかし中国のユニコーンは電子商取引とAIにおいてはかなり強い。
ジャック・マーがアリババを設立して以来、電子商取引業界で中国は圧倒的世界一でしょう。eコマースユニコーンも素晴らしい。
さらに日本でも盛んに騒がれている人工知能でも中国ユニコーンたちの勢いがすごい。監視カメラ導入で恐れられるSenseTime、中国初のクラウドAIチップメーカーであるCambricon、インテリジェントドライビング、スマートシティなどを研究しているHorizon Robotics、自動化プラットフォームUiPath、農業技術会社Indigo Agriculture、自動運転車Zooxなどなど。
こうやって書いてみると、やはりアメリカって凄いんやなと考えさせられます。でも中国もかなり成長していて、そりゃ世界がこの2カ国によって振り回されるよねってことは自然なことに思えます。ユニコーンの企業だけが未来ってわけではないですが、今後もこの2カ国がどんどんリードしていきそう。
今までたくさんの日本企業はアメリカをウォッチして、新しいものをすかさず調査して真似してきたと思います。それは間違いなく正しいと思うのですが、このデータを見るだけでも中国を知るのは必要不可欠な時代にどんどんなってきてますよ。そして、それはわたしたち北京オフィスにお任せください。
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(参考資料)
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