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Web3が話題になっている背景・経緯ーこの言葉がいつ生まれたか

こんにちは。グローバルでDXの調査・支援をしている柿崎です。
今回は、ご多分に漏れず、私も"Web3"について書きたいと思います(笑)。
岸田首相がWeb3について頻繁に発言されたことで、テクノロジーに興味がない方も言葉だけは聞いたことがあると思います。

「Web3とは?」、「Web3でこれからインターネットはどう変わるか?」といったことについては、他の方々が書かれていますので、私はそもそもWeb3が騒がれるようになった背景・経緯について書きたいと思います。

Web3とは

ただ、Web3という言葉を全くご存知ない方は、最初にいくつかWeb3に関する記事をご覧ください(記事のリンクの下にポイントになる箇所を引用しましたので、その文章だけでもご確認ください)。

Web3は、暗号資産(仮想通貨)の仕組みでもあるブロックチェーン(分散型台帳)技術を使い、データを特定の利用者に集めず管理する仕組みです。

デンシバSpotlight 吉川 和輝 2022年4月10日 5:00

ブロックチェーン技術を使って次世代のインターネットを実現する技術やサービスの総称である。その名の通り、Web 1.0、Web 2.0に続く新しいWebの姿を表現する用語だ。ブロックチェーンを利用し、インターネットの非集権化を推し進める。インターネットだけでなく、企業や国家といった社会のあり方にすら影響を及ぼす可能性を秘めている。

「Web3」の正体に迫る 大森 敏行 日経コンピュータ 2022.06.22  
表 Web 1.0、Web 2.0、Web 3の主な違い
「Web3」の正体に迫る 大森 敏行 日経コンピュータ 2022.06.22  

日本経済新聞の社説には、Web3で社会のあり方、そして働き方も変わると書かれています。

Web3は社会のあり方も変えうる。例えば、働き方だ。会社に代わる組織といわれるのがDAO(分散型自律組織)だ。
DAOでは事業やミッションごとにネット上に人が集まる。そこに参加するためブロックチェーン上に記録されるデジタル資産のトークンを購入したり、報酬として受け取ったりする。雇用契約に基づく会社とは性質が異なり、副業を前提とする働き方を促す。

 日本経済新聞 社説 2022年8月1日 19:00

Web3をまとめると、「ブロックチェーンという技術を用いて、これまで中集権的だったインターネットやデータの管理の在り方を分散型に変えること」と言えます。
Web3のキーワードとして、"ブロックチェーン"、"非中央集権型"、"分散型"などが挙げられ、さらに"DAO(分散型自立組織)"により社会や組織のあり方まで変わるようです。

Web3の概念は6年前には存在していた

Web3という言葉から一歩離れて、キーワードのほうに目を向けると、Web3の概念そのものは、もう少し以前から存在していました。

例えば、以下の経済産業省の資料をご覧ください。

https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/shomu_ryutsu/joho_keizai/bunsan_senryaku/pdf/001_03_00.pdf

表紙を見ると「平成28年3月28日」とありますので、平成28年=2016年ですので、今から6年以上前の資料になります。

この資料の中で、現在は「クラウド集中型」のトレンドだが、これから「自立分散型」へ反転する可能性がある、と書かれています。

この6年前の資料において、すでに分散型の現実的な姿まで説明しています。

また、一橋大学名誉教授の野口悠紀雄先生は、2016年からDAOについて書かれています。

新しい技術は、どのような方向に進み、どのような主体が開発をリードするのだろうか?企業動向の観点から見ると、ユニコーン企業が情報分野で技術開発を進めるだろう。アメリカの学生の就職希望先も、ここだ。なお、DAOという新しい企業群が地平線上に姿を現している。

日米の学生の就職希望先から見える「未来を創る企業」野口悠紀雄 2016.10.20   

ブロックチェーンを活用することで、そもそも「経営の必要がない」「経営者がいなくてもよい」組織が生まれるということです。それが、新しい組織の形である「DAO」です。「Decentralized Autonomous Organization」の略で、日本語では「分散型自立組織」と言います。

「ブロックチェーン」講義 第3回「DAO」は会社と仕事をどう変えるか?2017年05月08日 

このように、Web3という言葉は出てきませんが、6年前の時点で"自立分散型"、"DAO"というキーワードは出ていて、Web3の概念はすでに存在していたことが分かります。

いつ、誰が言い始めたか

それでは、Web3という言葉は、いつ、どこで生まれたのでしょうか。
ウィキペディア(Wikipedia)で確認してみましょう。

Web3という用語は、イーサリアムの共同設立者であるギャビン・ウッドが、2014年に「ブロックチェーンに基づく分散型オンライン・エコシステム」を指して作った造語である[4]。この構想は2021年に人気を博し[21]、暗号通貨愛好家が関心を寄せ、著名な技術者や企業が投資を行ったことにより、特に同年末に急速に注目を浴びた[2][3]。ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツの幹部は、2021年10月にワシントンD.C.を訪れ、政策立案者が取り組んできたインターネット規制に関する問題の解決策になりうるとして、Web3のロビー活動を行った[22]。

Web3 - Wikipedia

どうやらWeb3という言葉は、ギャビン・ウッド氏が2014年に作った造語のようです。今回は、記事の引用ばがりで申し訳ありませんが、Web3という概念が6年以上前には存在していたことがお分かり頂けたと思います。次回以降、いよいよWeb3という新たな言葉が、これほどまでに騒がれるようになった背景・経緯を考察していきます。

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