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アートエデュケーターの生き方について考える

"転職時に「副業」を重視する人が増えている"という記事を読みながら、ふとかんがえたことを綴りたいと思います。

なぜ副業を重視している人が増えているのでしょうか。ぼくは、副業で自分の関心領域を探索しながら、本業のスキルや知識を深めていく、ホームとアウェーを越境しながら生活することを望んでいる人が増えていると解釈しています。

アートエデュケーター/ファシリテーターとして仕事をすること

さて、ぼくは自分の肩書きを「ファシリテーター/アートエデュケーター」としています。もともとは子どもとアーティストのワークショップを企画・運営したり、幼児教育コンテンツを設計し提供する現場のプレイヤーでした。

しかし、子どもによいコンテンツを届けるには大人の創造性こそ必要だと感じ、組織開発や事業開発のファシリテーションを学び始めました。今は株式会社MIMIGURIに所属し、組織ファシリテーションを本業にしながら、子どもとのアートエデュケーションの機会創出を副業として実践しています。

アートエデュケーションの知を用いた組織のファシリテーションは探究しがいのあるテーマです。そして、多様な仕方でその実践は可能だと思っています。ぼくはもっと多様なアートエデュケーターが企業領域に参入してほしいと思っています。

アートエデュケーターのキャリア課題

アートエデュケーターという肩書きでなくても、アートエデュケーションの実践をされている方は多く存在すると考えています。

「アートエデュケーター」とは、もともとは美術館の教育普及の役割の名称として存在してますが、学校で美術を教えるいわゆる美術科教育の実践者はもちろん、演劇ワークショップを実践する俳優や演出家の方、本業はアーティストだが教育に高い関心を持っている方、デザイン教育やSTEAM教育に関わる実践者の方も広義のアートエデュケーターだとぼくは考えています。

しかし、アートエデュケーターはキャリアパスに大きな課題があると感じています。教育サービスの現場で働くアートエデュケーターの方々は、その専門性だけで給与や収入のグレードをあげていくことが難しいのです。

もちろん、現場でのサービス提供以外に書籍や講演活動、人材育成事業に参画することで影響力を発揮し、結果として収入を増やすこともできると思いますが、全員がそうなれるとは思えません。教育サービスであれば管理職を目指すことが給与グレードを上げる条件になるのではないかと感じています。

企業でのワークショップはアートエデュケーターの"副業"になり得るか

そのような現状があるからか、若手のアートエデュケーターのなかには企業でのワークショップ実践に関心をもっている方が多くいらっしゃるように感じます。実際、アートエデュケーションの知が社会に影響力を発揮していく術として、企業でのワークショップ実践は非常に有効です。

劇場や美術館に関心をもって自らワークショップに申し込む人とは異なる人にアプローチできます。そして、プロジェクトによっては多くの人数にアプローチできる場合もあります。少人数であったとしても、事業や組織をよりよくしようとする葛藤に寄り添うことでアートの知をその人たちの仕事や生活に溶け込ませていくことができます。

企業でのワークショップを収入源の一つにすることはもちろん、アートエデュケーションの重要な機会であると捉え、副業として実践する方が増えていくとしたら、それはとても素敵なことだとぼくは思います。

いつ、どのように越境を始めるのか

ただ、課題は、どのようなきっかけでその副業をスタートさせるのか、ということです。

ぼく自身は、企業のなかでファシリテーターの育成を目的とした研修を担当したことが最初のきっかけでした。それは、ぼくをアートエデュケーターとして企業の場にフックアップしてくださった方がいたからこそ経験できた仕事でした。

アートエデュケーションのナレッジを、どうすれば企業の現場で活かすことができるのか。企業での活動とアートエデュケーションの活動を越境させる方法について、次回以降の記事で検討・探究していきたいと思います。





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臼井 隆志|Art Educator
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