日銀金融政策変更によるクレジット市場への影響

 7月末に日銀が「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を発表する前後二週間程度、これまであまり動きのなかった円債市場に久方ぶりのボラティリティがプレゼントされたが、その傍らでクレジット市場は相変わらずの静けさ。

 そもそも円債市場でがっつり金利があがっていくというシナリオとそうした流れへの期待なくして、クレジット市場だけ上乗せスプレッドがついていくわけはない。しかも、クレジット市場には、日米欧の三大中央銀行の異次元緩和の競演により、マネーが入り込み、クレジットバブルの様相を呈して久しい。マネーが流入している以上、ファンダメンタルズの多少の悪化は気にしないで済む状態にある。

 しかも日銀の発表では、日本国債やETFの買入は弾力的な買入額の増減について触れた一方で、CP・社債等の買入はそれぞれ約2.2兆円、約3.2兆円の残高を維持するということであった。社債買入などでは、マイナス金利での日銀の買いなどが発生している。つまりは、日銀の政策により、リスクプレミアムの抑制がされ過ぎていると思われるのだが、これは継続してしまう、ということになる。

 クレジット市場というのはクレジット(信用)に応じた資金調達ができることが大事な市場である。しかし、日本では間接金融が巨大になり過ぎ、クレジット市場の発展が阻まれてきた。リスクプレミアムの抑制があまりに過ぎれば、クレジット市場はさらに育たなくなる。これが杞憂に終わればよいのだが。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33873390W8A800C1EN2000/

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