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「人も町も不老不死ではない」という当たり前の話

地方のメディアにニュースを配信することが生業の共同通信にとっては、地方が衰退するのは避けたいのだろうが、誰がなんといおうと地方は衰退する運命。

現実的に考えてほしい。そもそも国全体の絶対人口が今後毎年80万人以上も50年間減り続けるわけで、今ある自治体数を維持していくこと自体は完全に不可能。2100年までには、全体の人口が半分に減るが、地方の人口は20年もまたずに半減するところはたくさんある。だから、自治体間の人の取りあいをしたところで所詮は目先の話でしかない。

また、地方において若者が都会へ流出するのは、地方に魅力的な仕事がないためであり、残ってもそこで生活できないからである。生活ができないのであればそこで結婚も子育てもできない。

だからといって若者を地方に縛り付けようとするのも本末転倒である。

若者が大都市に集中しないようにするなら、省庁や大企業が地方移転でもしない限り無理だが、そんなことは絶対にしないでしょ?

結局、地方移住促進だなんだの言うが、移住してくるのは高齢夫婦ばかりである。そして、高齢夫婦は、やがてどちらかと死別することによって一人暮らしに戻る。そして、高齢ソロだらけの自治体になっていくだろう。

「消滅しないようになんとかする」ではなく「消滅する前提で50年先を見越した再編成をする」方向に舵を切るべきだと思われる。だって「なんともならない」から。

望まれるのは「令和の市町村大編成」である。当然、地方に住む人にとっては痛みを伴う場合もあるかもしれないが、「ぽつんと一軒家」が増えてもらっても困るのだ。

といっても目先の選挙のことしか考えない政治家と老後の天下りのことしか考えない官僚ばかりだからなあ。

平成の大合併においては、3200超の市町村数は1718程度にまで減った。2050年までに総人口は2割減るが、地方だけの人口に限ればもっと減る。1700を3割程度は削減していく必要があるのではないか。削減しなくても結局自然消滅するから。

不可避な現実をいつまでも見ないようにしようとする界隈は、こういう地方の清算に関して憤慨するのだろうが、不可避な現実なんだからちゃんと目をそらさずに直視しようよという話でしかない。

とはいえ、別に今までの自治体を見捨てて荒廃させようって話でもない。人が日常的に居住する村としては終了させても、何らかの観光資源などが元々あるのであれば、民間のホテルなどの誘致して観光訪区としてインバウンド需要として生き残る方策はある。永続的な住人がいなくてもいい。期間限定で働く人が循環するところであればいい。

ただやってはいけないことは、元々何もないところに無理やり町おこしみたいなものを作り上げても続かない。商売のド素人の自治体がマーケティングなんてできるわけがない。外侮に委託したらもっと悲惨。詐欺的な悪徳コンサルにいいように公金チューチューされる。一方で、ヤバいどこぞの首長なんかは、地方創生の名の下で国の補助金目当てで実効性のないろくでもない企画を提出し続けたりするから始末が悪い。

同じ理屈で、素人を移住させて農業させようとしてもなかなかに無理がある。

何もないところは自然に返せばいいじゃない。もともと自然だったんだから。何事も「無常」

町だって不老不死ではない。不老不死を願った為政者は(秦の始皇帝とか)歴史上たくさんいたけど、必ず死ぬし。人も町も。消滅しても何百年後かにはまた必要になるかもしれない。

繰り返すが、どの道人口は今の半分になるんだから、今と同じ状態は維持できない。そこを出発点として考えないと。

ところで、地方議会議員の数の推移をみると、なくなった町村の数に比例して、町村議員数は減っているが、市区や都道府県の議員数はほとんどまったく変動がない。

こんなに議員って必要なの?素朴な疑問としてそう思う。いてもいなくてもたいして関係のない議員なんてたくさんいるんじゃないの?知らんけど。

そもそも都道府県別でも人口が増えているのは唯一東京都しかないわけで、地方の県は毎年人口が減っているのだから是正した方がいいんじゃないの?


地方の議員を減らされたら困るみたいな意見もあるようだが、「困る」と言ってるのがみんな高齢者なんのが、いかにも。

むしろ小さな町村レベルで「成り手がない」というのならそれこそ合併した方がいいし、ボランティアみたいな安い報酬で議員させられているというのもおかしくて、やるならキチンと報酬を受け取って、報酬に見合う仕事をするべきだと思う。

あわせて国会議員の数も減らした方がいい。今の国会議員は政治家ではなく、政治で金儲けをする政治稼業でしかない。

一方で、地方自治体の公務員が退職するケースが特に若手を中心に増えているそうだ。


このままだと、町が消滅する前に、地方の若い公務員が先にいなくなってしまうのではないか?

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荒川和久/独身研究家・コラムニスト
長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。