見出し画像

サンドイッチに恋して

今月は食のエッセイを。

こちらの日経新聞の記事によると、コンビニで意外なものが外国人観光客に人気だといいます。ファミマのカラフルソックスと並んで紹介されているのが、サンドイッチです。柔らかいパンをつかったサンドイッチは海外ではレアらしく、そのテクスチャーが受けているのではという分析をしています。

サンドイッチはワーカホリックのための食べ物だった?

巷でよく言われるのが、イギリスでサンドイッチ伯爵がポーカーをしながら食事をするために、パンの間に具材を挟んで片手でつまめるサンドイッチを思いついたというお話。

サンドイッチ伯爵は遊び人のイメージで語られていますが、実際は海軍大臣を努め、クックをハワイやニュージーランドへ航海させるなど、多忙を極めたワーカホリックだったそうです。激務をこなす間にデスクで食事を取るために生まれたのがサンドイッチだというのが実は本当の話なんだとか。

そして、クックが探検したハワイは、船団を派遣した海軍大臣にちなんでサンドイッチ諸島と名付けられそうになったという話もあるそうです。日本人が大好きな旅先がサンドイッチになっていたかもしれないなんてなんだか楽しい話ですね。

次の休みはサンドイッチへみたいな話しになっていたかも

そして、これまた面白いのはサンドイッチ伯爵の子孫はアメリカでサンドイッチチェーンを経営しているんだとか。

キュウリはとんでもなく貴重な野菜だった

サンドイッチの中で一番高級とされるのがキューカンバーサンド。つまり、キュウリのサンドイッチです。キュウリもナスもトマトもジャガイモもヨーロッパ原産ではありません。これらすべての野菜は大航海時代に、南米からヨーロッパに持ち込まれたもの。

そんなわけで、18世紀のロンドンではキュウリは珍しい植物として珍重され、キューカンバーサンドはエキゾチックな食べ物とし人気があったんですね。
今でも、イギリス系の高級ホテルでハイティーをすると、出てくるサンドイッチはキューカンバーサンドなのはその名残なのです。

今度、バーにいったとき、メニューにキューカンバーサンドを見つけたら、ちょっと高貴な感じでつまんでみましょう。


大航海時代にキュウリは高級品でした

新幹線に乗るときの定番はハムサンド

村上春樹の小説にはサンドイッチがやたらと登場します。そして、新幹線の中での定番はハムサンドだって知ってました? 

『羊を巡る冒険』で主人公が地元に戻る新幹線の中で食べるのがハムサンド。『ノルウエーの森』でワタナベ君が直子に会いに京都に向かったときに、朝食代わりに食べたのもハムサンド。物語に描かれた時代の新幹線には食堂車がついていたから、もしかしたらワタナベ君はサンドイッチを食堂車で食べたのかもしれません。

僕が新幹線に乗る前に必ず購入しているのが大船軒の「サンドウイッチ」。明治32年に日本で初めて売られたサンドイッチの駅弁として知られています。厚めに切った鎌倉ハムのハムサンドが4つ、チーズサンドが2つはいっていて、ハムハムチーズ、ハムハムチーズと食べるのか、ハムチーズハム、ハムチーズハムと食べるのかいつも悩んでしまいます。マーガリンがなんだか懐かし味わいでナイス。

サンドウイッチという綴もいい

ワタナベくんが新幹線に乗った1969年から半世紀が過ぎ去ったけど、新幹線の定番は昔も今もハムサンドということで。

全国サンドイッチ選手権 極私的一位!

大阪の福島に〈パーラー184(いわし)〉という店があります。この店のイワシサンドは中毒性があって、関西方面に足を踏み入れたら必ずココに寄らざる得ないのです。

カウンター席で店主がサンドイッチを作るのを眺めるのが好きです。薄めで、キツネ色に焼けたトーストに素早くバターを塗る。そして、2枚半のシソの葉をトーストの上に素早く並べる。今度は、タルタルソースをたっぷりとシソの葉に塗って、ここでイワシのフライの登場。パンの耳を包丁で落として、一口サイズに6分割。最後の仕上げにパセリを振りかけるのが肝。


店主は高校野球マニア

トーストがサクッ、バターがジュワという食感がたまらないのです。そして、タルタルソースが優しくイワシを包んでいる。コレがワインにあうんですよ。

ちなみに、赤坂でのおすすめはジャズ喫茶〈ボロンテール〉のパストラミサンドだから覚えておいてね。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?