Netflix ドキュメンタリー『パンデミック』に学ぶ医療従事者の献身
既に政府機関や各メディアも特設サイトを設けて対策が進められている「新型コロナウィルス」。今後の見通しがまだ見えない中で不安も多く、日々の生活への具体的な影響が少しずつ出てくる中、見えない恐怖を少しでも緩和するためにも良質なドキュメンタリーを観る価値があるのでは、とNetflixの新作を昨日視聴して思いました。
1月23日に配信されたばかりのNetflixのドキュメンタリーシリーズのタイトルは『パンデミック〜知られざるインフルエンザの脅威〜』(原題は『Pandemic: How to Prevent a Pandemic』)です。
公開されたタイミングや、タイトルから判断して怖そう、或いは危機感を煽られるから、と目を背けたくなる人もいるかもしれません。実際に1918年に全世界的に起きたスペインかぜの当時の甚大な被害状況や、インフル感染で苦しみ、大掛かりな呼吸器を着けて苦しんでいる患者の映像など、不安を感じる内容も一部あるかもしれません。ただ、このドキュメンタリーシリーズには、ニューヨーク、オクラホマ、インド、コンゴ共和国、エジプト、ベトナム、テキサス、グアテマラなど、正に世界各地で日夜パンデミックの早期検知、治療、封じ込めに取り組んでいる医療従事者、研究者の献身的な奮闘ぶりが丁寧に描かれています。
「パンデミック」とは何か、そして現在の備えがどのような状況であるのか、そして将来の予防に向けてどのような開発や対策が進められているのかを知ることができます。
*予告編:予告編は英語ですがNetflixでは全て日本語字幕がついています(約50分 x 6本)
番組の中ではパンデミックと日々闘う10人程の専門家の日々の活動を世界各地での映像を次々繰り出しながら進展を追っていく形で描かれています。パンデミックと言われても具体的なイメージが湧きにくい人も多いかもしれません。『コンテイジョン』などの映画も話題ですが、実際の医療現場の現実を知る、という意味で、パンデミックと闘う一人ひとりの専門家の日常、家族、信念、信仰などがパーソナル・ストーリーとしてとてもよく描かれています。
厳しい現実もあるものの、ドキュメンタリー全体を通して観ることで将来に向けた希望すらも感じさせてくれる場面も数多くありました。
このタイミングでNetflixで配信されたことで、ドキュメンタリーで登場していた多くの人物がテレビや新聞で専門家としてリアルタイムで視点や知見を提供している点も、信頼出来る専門家の目利きの機会、という点でとても参考になります。以下に何人かのTwitterアカウントとCOVID-19関する記事やインタビュー動画のリンクをご紹介します。
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・Dr. Syra Madad - 世界的なパンデミックに備える専門家ネットワーク構築に取り組むニューヨーク市の感染症対策責任者
万能ワクチンの開発に取り組むスタートアップ「ディストリビューテッド・バイオ」創業者のジェイク・グランヴィル氏
・世界中で感染症の早期検出のために取り組む元米国国際開発庁(USAID)Director of Global Health Security and Development Unitのデニス・キャロル 氏(PBS News Hourでのインタビュー動画)
・共同エグゼクティブ・プロデューサーを務めたSheri Fink氏はエボラ出血熱の報道を通じてピューリッツァー賞を受賞したニューヨークタイムズの特派員です。
番組の中にはビル・ゲイツ氏も登場します。
2015年のTEDトーク:「もし次の疫病大流行(アウトブレイク)が来たら」は既に300万回以上視聴され、早くからこの問題に取り組んできたことが分かります。
そのビル・ゲイツ氏は2月29日に、世界でもっとも権威ある週刊総合医学雑誌の一つである「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に寄稿し、「(新型コロナウイルスは)「100年に1度」発生するレベルの病原菌とし、感染拡大を遅らせるために富裕国は中・低所得国の医療制度強化を支援するべき」と警鐘を鳴らしています。
全編視聴するとなると5時間程ありますが、今起きていることを正しく理解するためのきっかけとして、機会を見つけて視聴してみてはいかがでしょうか?以下、2点、詳しいレビュー記事があったのでこちらもご参照ください。
・【Netflix】『パンデミック – 知られざるインフルエンザの驚異 -』をレビュー | いいドキュメンタリーを観よう。