実は誤解の多い社会保障財政
社会保障給付費は既往最高額の更新が続いていますが、GDP比の上昇は僅かですし、雇用・賃金の増加に伴い社会保険料が増加してますので、社会保障財政の悪化には今のところ歯止めがかかっています。
こうした近年の社会保障給付費の特徴は、年金等の「高齢」や、高額薬の薬価引き下げ等で「保健医療」の増加が小幅にとどまっている一方で、子育てや共働き世帯のニーズに対応した就学前教育・保育の給付や育児休業給付等による「家族」や、低年金者向け給付措置の影響で「生活保護その他」の増加が目立っています。
先を見据えても、2020年代にかけては人口動態面で給付費の増加圧力は和らぎますが、教育無償化や消費税10%時の低年金者給付措置等の実施が予定されています。つまり、社会保障給付費増の主因は高齢化に伴う医療・介護・年金増というのはミスリードです。
社会保障財政の問題が深刻になるのは、団塊ジュニア世代が65歳以上の高齢者となり、年金受給者数の増加と生産年齢人口の減少が到来する2030年代でしょう。就労期間を長期化する「生涯現役社会」の実現のための企業の雇用体系や硬直的な労働市場、社会保障制度等の段階的な手直しは今後も必要といえるでしょう。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39010280W8A211C1MM8000/
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