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床や壁だけじゃない団地のリノベーションの視点。それはコミュニティ・リノベ。

千葉がいろいろとおもしろい試みをやっている。

古い団地をリノベーションして、若い家族や単身者などに興味をもってもらいたいというもの。

団地といえば、かつて高度成長期には首都圏ではドーナツ現象と呼ばれたように、家族がこぞって郊外に移住した時期に増えた。しかし、最近では築年数もそれなりで古くなり、居住者の高齢化や空家が増えた。団地ってそもそもエレベーターがなかったりする。高齢者はそれも辛い。

しかし、4階くらいまでなら若い世代なら問題ない。団地が敬遠されるのは、その間取りが古いままだったりするからだ。

「リノベーションしたところで所詮団地は団地だろう」と思うかもしれないが決してバカにできない。

さすがら、躯体である天井高そのものは変えられないが、もともと細かい部屋区切りだったものをとっぱらって大きいリビングダイニングになっていたり…↓

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和風の音入れだったちころを上手くアレンジして棚とクローゼットに変換していたり…↓

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当然、バス・トイレも最新式のものになっている。

当然ながら、このMUJIとのコラボ物件は相当な人気らしく、募集即なくなってしまうらしい。


URの魅力は、礼金も敷金も不要だし、民間なら当たり前にかかる2年ごとの更新料も不要。何より家賃が安い。千葉の花見川区で現在募集している通常物件でいえば(MUJIとのリノベーション物件ではない)、50㎡で4万円の家賃である。 経済的にも若い人達には助かる。千葉なら東京への通勤圏内でもあることも大きい。


他にもこんなこともやっている。

これも悪くはないのだが、ただでさえ婚姻数が少ない中新婚カップルを集めるのは至難の技。それより、結婚に前向きな未婚男女を集めた方がいいと思う。

あわせて結婚相談所とかともジョインして、ここでの交流や出会いのサポートもする。同時に、団地祭りでもバーベキュー大会でも肝試し大会でも開催してスタッフとして一緒に働けば仲良くなれる。最悪、住まなくてもスポット参加できるようにしてもいい。

そうして万が一成婚したカップルがいたなら、結婚相談所に払う成婚料金と同額の結婚お祝い金を自治体がプレゼントすればいい。実質、無料で結婚相談所サービスをうけられるようなもの。

新婚となったら違う場所に住みたいとなれば、同じ自治体の中で優遇家賃を受けられる物件も用意すればいいし、そうして地域との接続機会を増やせば、当然そこに居住し続ける人が増える。

人と人ともそうなんだが、人と地域だって単純接触効果(ザイオンス効果)が大事。好きとか親しみという感情は接触の数に比例する。


リノベーションというと、床や壁の張替えだと思いがちだが、そもそも人が住んだり集まったりする場所はコミュニティであり、コミュニティの機能をリノベーションすることが今後求められる。

かつて、コミュニティはそこに居住や就業することでしか参加資格がなかった。一緒に生活を共にすることが「所属するコミュニティ」の存在意義でもあったからだ。しかし、今後は、必ずしも共住を前提としない、束の間でも、通いでも、刹那でも構わない「接続するコミュニティ」が重要になります。

地方や郊外が人口を増やしたいという気持ちはわかるが、移動や引っ越しには相当の覚悟と体力が必要になる。ばかのひとつ覚えみたいに、子育て支援とか夫婦支援とか現金だけで、子育て家族を呼ぼうとしたって無理。他の自治体も同時にほしがるわけで、所詮シェアの奪い合いにしかならない。全体の底上げを図るなら、その前段階から、家族になる前の状態からつながりをもつ視点が大切。

千葉県さん、どうです?実効性のあるコンサルしますよ。 


全国的に家族が増えないのは間違いのない将来推計なので、それはこちらのプレジデントの記事にも書いた通りです。



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荒川和久/独身研究家・コラムニスト
長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。