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アメリカで最も「不幸」なのは若者?

3月に発表された「世界幸福度レポート」によると、アメリカでは若者が最も「不幸(unhappy)」だと感じているという。

USA Todayの以下の記事では、Z世代が人生において「不幸」を感じる原因と考えられる社会的背景や、改善するためにはどうしたら良いかを提案する専門家の意見が述べられている。

私自身、アメリカで生活するZ世代当事者として、著書の『世界と私のA to Z』や『#Z世代的価値観』でも繰り返し主張してきたように、今のアメリカの若者は様々な社会的要因によって、そして過去の若者が経験したものとは全く異なる要因によって、孤独や絶望を感じている。90年代半ばから00年代半ばに生まれたアメリカのZ世代は、まさに高校や大学生活の真っ只中にコロナのロックダウンを経験した世代。さらには幼少期にサンディーフック事件やポスト9/11の社会的閉塞感を経験し、環境破壊や経済・政治不安が当たり前の時代に生まれていた

レポートによると、30歳未満の自己申告データによって、2012年にこの報告書が発表されて以来初めて、アメリカは「最も幸福な国」ランキングのトップ20から外れた。

USA TODAYの取材によると、アメリカの若者たちは自分たちの絶望の根源の理由として経済、住宅費、学生ローン、政治的分断、SNS、気候変動、ガザでの戦争などを挙げた。

さらに、コロナ以降は若者の自殺率の急増も問題になっている。「孤独問題」として、ここ数年は若者も大人も「孤独とどう向き合ったら良いのか」について考える機会が増え、この原因としてはインフラ自体の変化(サードプレイスの消滅、ウォーカブルシティの減少等)やSNSの影響など様々なことが挙げられるが、深刻な問題であることには違いない。USA Todayの記事では、このようなインタビューの言葉が記載されている。

「ある年齢までに結婚して当たり前、ある年齢で家を買うのが当たり前、という期待が若者に向けられるが、それはもう現実的ではない」

また、この記事では「脱SNS」を意識的に行い、フィジカルメディアに回帰することでSNSによるプレッシャーやストレスを避けようとする若者や、メンタルヘルスを優先するために学業を休業する傾向が増えていることなどが取り上げられている。

「一般的に、幸福度は若年層で最も高く、中年期(40〜60歳)で最も低くなり、定年退職や老年期になると再び上昇する。一般にU字型と呼ばれる現象である。米国では、全般的に平坦化するのが数年来の傾向であったが、今年はその形が認識できなくなったと専門家は述べている」

上のスレッドが言及しているReddit投稿でも、若者の絶望の叫びが見て取れる。かつては「若さ」は「未来への夢や希望」の意味を持ったが、今では未来に対する希望を失い、無気力になってしまう「中年のクライシス」を10代や20代の若者が経験してしまっているのだ。カネへの欲に塗れた政治やビジネスに搾取され、経済状況は一般庶民にとっては悪化するばかりで、過去には当たり前だったライフスタイルは手の届かないものになってしまった。

このように資本主義によって人生の希望までを搾り取られてしまわないように、スレッドの投稿者はスマホ依存から脱却する方法やコミュニティを形成する重要性、そして資本主義を人生の中心的価値観から外すための方法を紹介している。お金を使わなくても、そして「生産的」でなくても人生を楽しむことは可能であること、そして急ぎ続けなくても「ゆっくり」と生活をすることも、とても大切であることを強調している。


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竹田ダニエル
記事を読んでくださりありがとうございます!いただけたサポートは、記事を書く際に参考しているNew York TimesやLA Times等の十数社のサブスクリプション費用にあてます。