フィリップス曲線をどれだけ信じるか

 日本経済だけに目をやれば、昔は正社員1名でやっていたものを時短労働者3名で賄うような時代になりつつあるので、月の平均賃金はどうしても下がるでしょう。毎月勤労統計などに表れる賃金は時給をヘッドラインすべき時代になっていると思います(今はまだ月給ベースの報道が多いですが、ミスリーディングでしょう)。なお、企業の労務コストはヘッドカウントが増える分、増していくのではないでしょうか。

金融政策面では、およそ人が足りないにも拘らず、賃金が上がらないということはあり得ないので、もはや賃金デフレというワードは使われることは無く、この点は今のBOJには追い風でしょう。とはいえ、長年フラット化しているフィリップス曲線が立ってくる臨界点は日銀を含め簡単に読めるものでもなく、また事後的に分かるものゆえ、これを当て込んだ金融政策は実態としては危うさをはらむと思います。これはカシュカリ論文で批判されている現在のFRBの引き締めにも通じる論点です。日米金融政策は「フィリップス曲線をどれだけ過信すべきか」という点で同じような問題意識を抱えていそうです。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF30H08_Q7A630C1MM0000/?dg=1&nf=1

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF30H08_Q7A630C1MM0000/?dg=1

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