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自分の過去は、変えられるという話

キャリア相談を受けていると、「私は経歴があまり良くなくて…」などというためらいの言葉を聞くことがあります。実はこれ、なにが悪いかというと、「自分でそう思ってること」だったりするのですよね。

自分で自分の限界を規程してしまい、過去の呪縛の中に自分を小さく閉じ込めてしまうこと。こういう態度がいちばん怖いし、もったいないと思うのです。


「過去によって未来は決まる」みたいな考え方があり、哲学では決定論と言われます。世の中のすべてのできごとは、未来のできごとも含めて、因果関係によってあらかじめ決まっているという考え方ですね。

ちなみに最も重いレベルの決定論になると、人間は自由意志さえ持っていないということになります。たとえば「考える」ことも、脳細胞での化学反応とか、さらには分子や原子レベルの物理法則にすぎないということですね。

まあそれを言い出すと、我々の存在意義はいったいどこへ、となってしまうわけですが。


この決定論という考え方は、キャリア論に当てはめると、高度経済成長期のそれに近い気もします。すなわち、いい学校を出て、いい会社へ入り... というやつです。

そのような世界観においては、「過去の経歴」というものが決定的に重要になります。人生とはエスカレーターみたいに一本道で登っていくものであり、方向転換やドロップアウトはすなわち落伍者になることを意味する、みたいな考え方です。

このような "常識" があたり前だったのは別に大昔というわけでもなく、つい数十年前までそうでした。今のシニア世代が若い頃は、まだまだそんな考えが主流だったのですよね。


しかし、時代は変わりました。

いま、自由に大きく活躍している人ほど、過去の経歴や実績なんかに執着していない人です。

逆に、いまだ「エスカレーター式」のキャリア神話を信奉している人ほど、斜陽産業にある会社でリストラに怯えていたり、自意識と現実の評価のギャップに苦しんでいるように見えます。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72062210Q3A620C2EN8000/


過去の経歴なんかよりも、「いま何がやりたいか」の方がはるかに大切です。そういう時代になりました。

そして、やりたいことを実現するにはどうすればいいか。過去にとらわれず、自分で「独自の道」を見つけ出すことが必要です。それができる人ほど、本当に優秀な人なんだと思います。これからは、ますますそうなるでしょう。

▶ 「自分の過去」は変えられるもの


過去には戻れないのだから、自分のこれまでの経歴や実績は変えることができない。これはあたり前の考え方のようにも思えます。

しかしながら、「自己認識」という観点からだと、過去は変わります。より正確にいうと、過去への見方や評価が変わるということです。

自分から見た場合、この世の中は「認識」がすべてです。誰もが共通して持つ客観的な物差しというものはなく、人それぞれが、すべて自分のフィルターを通してものごとを見る。それが認識です。

だから、今やっていることとか、未来の可能性から自分の過去を振り返った場合、「自分の過去への認識」はまったく変わってしまうことがあるのです。


だから、これまでは「良い経歴」ではないと思っていた自分の過去も、突然、自分にとってものすごく意味あるものに変わるということがあるのです。

そしてそれは、自分の考え方しだいです。

自分で、積極的に、過去にやってきたことを評価すればいい。そしてそれは、とても浅い「なんとかランキング」とかとは無縁の世界です。

エスカレーター式の世界でないのなら、ランキングなんて本当になんの意味も持たないのですから。


たとえば僕の場合、最初の会社はスタートアップを選びました。

ずいぶん前の話なので、まだ新卒でスタートアップを選ぶ人間は圧倒的に少なかった時代です。「就職ランキング」的な観点だと、スタートアップは当時は総じてかなり低い位置にありました。

でも、自分としてはそれが本当に良かったと思っています。途中しんどいこともありましたが、いま振り返ってみると、どう考えてもそれがベストな選択だったと心から思えます。

その環境でなければ、その後に起業できたかどうかも分からないし、今の自分がどうなっていたか想像もつきません。


過去の自分がどうだったかは、すべて「いま」の視点から決まります。そう考えると、自分の過去に自信を持つことができます。すべて必然だったし、そして、これからの未来のための大事な基礎だったと。

これからも、そうやって考え、そして生きていきたいと思っています。


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