ローテク設備で急成長する餃子無人販売所の新業態
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ローテク設備で急成長する餃子無人販売所の新業態

 コロナを転機として、これまでのような対面型の接客サービスを見直す実店舗が相次いでいる。海外では非接触型サービスが「コンタクトレス・ホスピタリティ」と呼ばれて、新たなテクノロジーが導入されはじめている。2018年頃からは店員を配置しない、ロボット型無人店舗のソリューションが開発されて、アマゾンが展開するロボット店舗の「Amazon Go」は、シアトル、シカゴ、サンフランシスコなどの主要都市を中心として、2021年の時点で27店舗が運営されている。

Amazon Goは、スマホアプリと、店内に設置された数百台のカメラ、映像から商品を認識するソフトウエアによって構成されており、顧客が店内で目的の商品を選んでゲート外に持ち出せば、自動的に代金決済される仕組みになっている。

2020年2月、シアトルにオープンした「AmazonGo Grocery」は、10,400平方フィート(966平米)の売り場面積があり、生鮮品や日用品など5000品目を扱うロボットスーパーとして運営されている。来店客はレジの行列に並んで精算をする必要がないため、このスタイルに慣れると、日頃の買い物に費やしてきた時間を大幅に短縮することができる。

日本でも、無人店舗の開発は進められており、JR東日本の子会社と、AIレジを手掛けるサインポスト(3996)の合弁によって立ち上げられた株式会社TOUCH TO GOが、2020年3月に高輪ゲートウェイ駅構内に無人コンビニをオープンさせている。 このテクノロジーは、西武鉄道とファミリーマートが共同展開する、駅ナカ・コンビニ「トモニー」や、三菱商事の系列ガソリンスタンドに併設される無人コンビニにも供給されはじめている。

これらの無人店舗は、将来的に普及していくことが予測されるが、小売業者が即採用できるわけではない。ネックとなるのは、ハイテク武装されたシステムの導入にかかるコストであり、アマゾンが「AmazonGo Grocery」の無人スーパーに投じているシステム費用は、1店舗あたり約100万ドルと言われている。

TOUCH TO GOの場合には、初期費用はかからず、毎月のシステム利用料を請求するサブスクリプション方式だが、その料金は今のところ月額80万円に設定されている。カメラやセンサー機材の価格が安くなれば、利用料も引き下げられていくだろうが、もともと利益率が薄い小売業にとっては、重い負担である。

一般的なコンビニ店舗(有人)の経営では、標準的な月間売上が1500~1800万円に対して、商品原価が65~70%、粗利益率の約40%がFC本部のロイヤリティとなり、残りの金額から店舗の経費や人件費、店舗オーナー収入を賄う構造になっている。店舗をロボット化しても、人件費が完全ゼロになるわけではないため、売上が伸びない状態で、店舗をハイテク化することが難しい。

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その一方で、2000年頃から国内で急速に増え始めている無人店舗の形態に、餃子の無人直売所がある。こちらは、ハイテク設備は極力導入しないように工夫されており、代金は電子決済ではなく、「料金箱に入れる方式」にしているのが特徴である。

餃子無人販売所は、市街地やロードサイドの空き物件を活用する形で出店されており、顧客は無人の店内に設置された冷凍庫から餃子をセルフで取り出して、料金箱に千円札を入れる。餃子の料金は、「餃子36個で1000円」のシンプルな体系のため、釣り銭用の機械も設置されていない。

餃子無人直売所は、群馬県の水上温泉にある雪松食堂という飲食店の人気餃子レシピを引き継いだ親族が、餃子のテイクアウトサービスとして、プレハブ小屋を改装した24時間営業の無人直売所「餃子の雪松」を、2018年に埼玉県入間市で立ち上げたことが発祥と言われている。その後は、コロナ禍で、無人販売所を利用する需要が増えたことで、現在は関東圏を中心に100店舗以上が展開されている。

餃子の雪松の他にも、餃子の無人直売所は全国的に増えており、小売業の新たな形態として注目されている。もともと、日本には農作物の無人販売所が狭小ビジネスとして成り立ってきた実績があり、ロボット店舗のようなハイテク化を目指さなくても、無人店舗の運営が可能なことを餃子販売の事例は示している。

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