強いブランドの裏側にある非合理性を考える
優れたビジネスモデルや戦略のトレースをして、共通項を考えていくと、非合理性の大切さに気づきます。
非合理な打ち手は、ストーリーとしての競争戦略の中でも、良い戦略ストーリーに共通する要素としてが触れられています。
戦略ストーリーを考える上で、一番最初にくるものがクリティカル・コア=一見非合理な打ち手となっています。
こちらの記事がわかりやすいので、ぜひ読んでみてください。
非合理な打ち手が重要だと概念だけだとわかりにくいので、直近でマーケティングトレースした事例をご紹介します。
ダイソーの非合理性とは何か?
100円均一業界で圧倒的なポジションを築いている王者ダイソー。
100円均一業界でもダイソーは一人勝ち状態。
ダイソーの創業者、矢野さんに関する本を読んでいて、ダイソーが一人勝ちをする要素は何なのだろう…と考えてみました。
ダイソーの4Pマーケティングミックスと非合理性
ダイソーの4Pマーケティングミックスを整理すると下記の通りです。面白い要素が見えてきました。
ダイソーのマーケティングミックス
Product(商品戦略)&Price(価格戦略)
商品
・顧客が感動する商品をつくる
・売値は100円均一(価格帯は広がっている)にこだわり、1商品1円の利益しか出なくても商品を開発する
→品質と価格の理想のバランスを追求した結果として自社開発商品比率が高まる
Place&Promotion
・在庫は宝だと考え、圧倒的な大量発注で品質のよいものを低コストで確保
・世界約5,000店舗に商品を届けられる店舗網を構築
在庫は宝…!?
この非合理性は、他社が真似できない独自性・優位性につながっているわけです。
業界No.2のセリアはPOSデータをいち早く取り入れて、商品開発や仕入れ・流通の最適化を図っていることは有名な話です。
しかし、ダイソーの大量発注や極端に利益が低い超大ヒット商品を生み出す非合理な要素を含んだ仕組みは簡単にマネすることはできません。
・在庫は宝
・1商品1円の利益しか出なくても顧客が感動するのであればつくる
「非合理な要素」は意図的に取り込みたいですね。
戦略的に非合理な要素を取り込むイメージ
ここまで、ダイソーを事例に戦略における非合理要素が優位性を支えていることを説明してきました。
でもこれって…
社長が変わった人で、創業者のトップダウンの非合理な意思決定が積み重なってきただけなのでは?ある意味偶然なのでは?と考えるのが自然だと思います。
確かにその要素はあると思います…
でも、非合理な要素が何かをイメージしておけると、仕事の中で意識して取り込むこともできると考えています。
良い非合理要素はJカーブのことではないか?
改めて、良い非合理要素とは何なのでしょうか?
図解すると下記のイメージです。
短期的にはメリットは感じられないけど、続けたら大きな成果が出るもの。
スタートアップの世界で使われるJカーブですね。
このJカーブを見つけるのが良い戦略を考える上で重要だと考えています。
大きなことを成し遂げようと思ったら、リスクをとって助走する準備期間が必要。これは、全てに通じるものだと思っています。
皆んなが推奨していることは、リスク低く当たり前にやられることなので差別化要素、優位性を支える要素にはなりにくいです。
マーケティングに関わる人の役割は、短期的に意味がないと言われるようなことを、Jカーブをイメージしてリスクとって投資→中長期的に優位性につながるものにすること、ではないかと最近考えています。
非合理性を意図的に取り入れる。
この意識を日常の仕事でもつだけでも、戦略を描く楽しさが出てくると思っています。
ぜひ参考にして頂けたら嬉しいです!
最後まで読んでくださりありがとうございました!
ちなみに、こちらは先日にダイソーの銀座旗艦店で購入したもの。
商品が進化し過ぎててビックリしました。
さらに、系列のStandard Productsはダイソーのブランドイメージを良い意味で覆してくれる存在でした。
銀座行った際は、UNIQLO、無印、ダイソーの旗艦店をフィールドワークしてみることオススメです!