デンマーク代表のW杯ユニフォームから考えるブランドに求められる社会価値とは?
サッカーW杯にて、デンマーク代表のユニフォームデザインが注目を集めていることをご存知でしょうか?
ユニフォームを手掛けているのはデンマークの代表的なスポーツメーカー「ヒュンメル」です。
ヒュンメルの社会へ問題提起をするデザイン
公式サイトには、ユニフォームデザインの意図が下記のように書かれています。
ハフィントンポストには下記の通りデザイン背景が書かれています。
公式Twitterでも、正式にカタールを批判しています。
ちなみに、デンマークのシュミット元首相は、LGBTQへの連帯を示す虹色の腕章を着用して試合を観戦をされていたとのことです。
ヒュンメルの根底にあるブランドミッション
ヒュンメルは、W杯だから特別に強いメッセージを発しているのでしょうか?
そんなわけではありません。
ミッションレベルで自分たちの社会における存在意義が定義されています。
そして、常日頃からのブランドキャンペーンは社会への問題提起を行っています。
自由で多様性のある社会を目指す強いミッションが根底で掲げられており、W杯以外でも、アフガニスタンの人権問題やLGBTQに関する問題提起を含んだキャンペーンが実施されています。
最近のキャンペーンを紹介します。
こちらはコペンハーゲンのLGBTQイベントにおけるキャンペーンサイトとムービーです。
SDGsを掲げる、社会イベントに協賛するといったレベルではないことは一目でわかります。
ブランドの役割として、デザインの役割として「社会への問題提起」を大切にされています。
メッセージに賛成、反対以前に、マーケティングやデザインに関わる人は、「社会に対するスタンスや仕事の責任・役割」を考えるために、ヒュンメルのクリエイティブはチェックしておくことオススメです。
ブランドにとって、自己実現価値、社会価値とは何かを深く考えることにつながるはずです。
デザインにも選手にも社会へのメッセージ発信が求められている
サッカーW杯に出場して試合に勝てば良いでは終わらせないわけです。
デンマークは、EU諸国の中でも、人権・平等を守ることを大切にしていることで有名です。
今回のヒュンメルのユニフォームは、国のサッカー協会との議論の中で生まれたとありました。
「国家ブランドとしての社会へのメッセージ」と捉えることもできそうです。
国としてデザインの力で社会にメッセージを伝えることまで踏み込むことは、デンマークらしいと感じます。
ちなみに、国が運営するコペンハーゲンのデザインミュージアムでも、カタールW杯への問題提起の作品が展示されていました。
今まさにコペンハーゲンに1週間滞在をしていて、デンマークの国としてのデザイン力を感じています。
最後に、現地で社会・デザインに触れてみて感じたことを整理して終わりたいと思います。
デンマークのデザイン思想は、居心地の良さ・お洒落さ"だけ"ではないのでは?
デンマークはデザイン大国と言われることで有名ですね。
オシャレな家具や照明をイメージされる方が多いのではないでしょうか?
または、ヒュッゲに代表されるような居心地の良い環境デザインのイメージもあるかもしれないですね。
家具や照明はもちろん素晴らしいです、街を歩いていてもミュージアムに行ってもテンション上がりっぱなしです。
このデザインをお洒落さだけでは片付けてはいけないなと。
過ごしている中で気づいたのは、社会をどうするのか?という広義な意味でのデザイン力です。
デンマークは、国としてデザインの果たす役割を真剣に考えているのでは?
滞在する中で、デンマークは「人がより良く生きるための社会をデザインすること」と真剣に向き合っていると感じています。
それも国全体で。
これは、自転車社会を実現している姿をみて感じたことのツイートです。
この社会をデザインする視点こそ、日本がデンマークから学ぶべきことだなと思っています。
参考noteのご紹介
コペンハーゲン滞在前・中にたくさん街をみるヒントを頂いているのが、安原さんのnoteです。北欧の社会の仕組みや価値観などに興味ある方にはオススメです。
デンマークは自分が思っていた以上に社会のデジタル化が進んでいて、こちらのnoteが背景理解に役立ちました。
サスティナブルも、データ活用やスマートシティなども、綺麗事ではなく。本気で未来をつくるために取り組まれていることがわかります
デンマークから未来への向き合い方を、残りの滞在期間で学んで帰りたいと思います。
たくさん持ち帰って仕事、活動に繋げていきたい。