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企業向けSaaSビジネスを超短期間でローンチするには ~LayerX INVOICE リリースの裏側~

LayerXでのDX実践

現在DX関連で躍進している企業の多くがSaaSに関連しています。toB Saas事業を考えている方も多いのではないでしょうか。

しかし、経験のない会社がいきなりSansanやfreee, クラウドサイン, AI Insideのような事業を作るのは難しいと考えられてます。

LayerXでは過去toBのプロダクトを作ったことがない、SaaS事業も作ったことがないメンバーで、Saasプロダクトを超短期間で開発しローンチしました。


本投稿では、具体的な事業内容は割愛しますが、どのように短期間でSaaS事業を開発しローンチしたのかということを、これから事業開発しようと思っている方にお届けしようと思います。今後はいわゆるトラディショナルな企業がこういったデジタルビジネスを立ち上げていくという事例(コマツなど)が増えていくと思います。

前提として、LayerXはデジタル企業なのでDXの中でも「トランスフォーメーション」要素は薄めです。

ただ、LayerX社は様々な会社のDX支援をしていくなかで、「意識」すべきポイントも見えてます。それは

- コアとノンコアを意識し、何にのっかり、何を内製化すべきかを決める。巨人の肩にのるための素早いTry&Errorを繰り返す

- DXとはデジタルを前提としたUX、ビジネス構造に転換することなので、徹底的に「ユーザー目線」「デジタルを前提とした効率的なUX」の実現に集中すること

の2点です。

実際にLayerXでSaaSプロダクト「LayerX INVOICE」をリリースする上でも上記のポリシーを大事にし、僅かな期間でプロダクトをリリースし、すでに上場企業にも導入されるほどのスピード感ですすめています。

LayerXのメンバーや経営陣には、SaaSの経験者もいなければ、バックオフィスプロダクトの経験者もいない状態で始めています。

「巨人の肩」にのることで経験の差分を大きく埋めることができるというのが、デジタル技術を活用する大きなメリットの一つとも思うのでその観点も入れつつ、どうやっていったかを書いていこうと思います。

巨人の肩に乗り、コアに集中

大前提、LayerXはエンジニアが組織の7割以上を占めるエンジニア組織です。のでSaaSの開発からマーケ運用・営業組織構築まですべて「自前」で作れます。が実際は全く自前で作ってません。

LP(ランディングページ)やCRM, ミドルバックの構築などはSaaSを使い倒し最速で構築しています。プロダクトはクラウドやIDaaS、その他さまざまなソフトウェアモジュールを利用し、構築しています。

SaaSというと、マーケ組織や営業組織、ノウハウなどは実際どうしたの?と思われるかもしれません。少し例で上げていくとLPの作成にはunstackというサービスを使い、弊社のPM(not エンジニア)がさっと1-2日でつくりました。

もちろん今後は細かい改善をくりかえしていくのですがローンチ時はこのレベルで十分かなと思います。

またCRMや営業に関しては、hubspot, sansan, salesforceを活用し、ベストプラクティスにのっかりながら実際に営業プロセスを回しながら構築していってます。

チームでのミーティングの様子や面談の記録はzoomでレコーディングしています。こうすることで新しく入ってくるメンバーのキャッチアップコストが非常に低く保たれてます。

SaaS事業に必須な顧客の契約管理・会計管理などのミドル~バックオフィスに関してもクラウドサインやマネーフォワードを使い倒すことで安価にしかも速く実現しています。(バックオフィスは現状CFOを除いて1名いるのみという体制です)

このようにいまゼロからtoB, SaaSビジネスを立ち上げようとしたときの、「マーケセットアップ」「営業セットアップ」「ミドル~バックオフィスセットアップ」のコストや生産性がデジタル、ソフトウェアによって劇的に上がっているのです。

またこれらは一定の業務をシステムに任せることが可能なので、この仕組のまま組織サイズに合わせてスケールさせていくことができます。こういったことはスタートアップ以外の世界にもどんどんひろがっています。(つまるところそれこそが「DX」です)

事業を作るための、セットアップコストや生産性、スケーラビリティがデジタルなソフトウェアによって改善され、それを前提とした新しい顧客体験やビジネスモデルが今後どんどん生まれていきます。

もちろんこれらはただパーツとしてはめようとしてもハマりませんので「何を解決したいのか」「どういうペインに合わせてこれらを加工するのか」のところに時間を使っています。

効率化で空いた時間は徹底的に顧客理解へ投入

このように弊社はさまざまなソフトウェアやSaaSを使い倒すことで、事業のセットアップコストを下げました。ではその空いた時間やコストで何をやったかというと徹底的に「顧客理解」と「その課題を解決するUXの実現」に時間をかけました。具体的には

「実際に100社、請求書受領業務をやっている経理にヒアリング」
「素早く動くデモを作り、机上の空論ではない形で、既存業務フローとその課題を深ぼる」
「実際に開発メンバーやPMがLayerXの経理業務を行うことで業務理解を深める」

といったことに時間を使いました。その中でこのプロダクトのコアと位置づけた「手入力をゼロにする」につながる課題、具体的にはOCR精度の改善や、仕訳サジェストの仕組み、マスタ連携、抜け漏れをなくすための請求書回収機能、多くの経理を悩ます源泉徴収周りの機能など、「経理のペインを解決できる、かゆいところに手の届く」開発に徹底的にフォーカスしていました。

DX、デジタルと聞くと機械的に、データで、冷たく判断開発しているみたいなイメージを持たれるかもしれません。が、実際は「100社ヒアリングする」など、デジタル化によって空いた労力でウェットで定性的な部分の時間を増やせるようにしているのです。

すでに十分に扱えるものが市場で提供されてる場合はノンコアと定義し、巨人の肩に乗る、限りあるリソースをコア(=顧客の課題解決につながる独自の部分)にリソースを当てていくということが重要です。またそのコアの中でも、機能の実装を助ける様々なソフトウェアモジュール(IDaaSやクラウド、その他ミドルウェアなど)も市場に豊富に存在するので、そこは自前で車輪の再発明をするのではなく使いこなしていくという、細かい単位での「コア」「ノンコア」の判断をしていくことをチームで徹底していました。そしてコアの部分は深い業務理解や顧客理解が必要なのでそこに最も時間を今でも使っています。

こうしてプロダクトローンチにいたるまで素早くスクラップアンドビルドを繰り返し、紙芝居やデモをみせながらの「真の顧客理解・課題理解」をし、その課題をどうUXとして実現するか、デジタルな道具を使い倒すかという点がDXのポイントなのかなと感じます。

これからのDX

振り返ってみると、自分が1社目の起業をしたとき(2012年)は、スマホ×toCアプリが一気に伸びた時代でした。それは

iPhoneおよびAppStoreの登場 → サービスデリバリのセットアップコストが大きく低下、生産性、スケーラビリティが大きく向上

(AWSなどの)クラウドの登場 → サービス開発やインフラのセットアップコストが大きく低下、開発生産性とスケーラビリティが大きく向上

(Facebook, Googleなどの広告出稿視点での)アドプラットフォームの進化 → マーケティングのセットアップコストが大きく低下、生産性、スケーラビリティが大きく向上

といった要因で、スマホ×toCのサービスがある意味誰でも作れるようになった、スケールさせれるようになったということが大きく事業の競争環境を変えたのだなと思います。

直近ではBtoBのスタートアップ、SaaSや、業界特化の深い課題を解くバーティカルなDXのスタートアップが急増しています。これは上記LayerX INVOICEの例でも示したのですが

ミドル~バックオフィス向けSaaS(freee, マネーフォワード, クラウドサインetc)の充実 → ミドル~バック業務のセットアップコストが大きく低下、生産性、スケーラビリティが大きく向上

NoCodeの充実 → 汎用LPやアプリ制作などのセットアップコストが大きく低下、生産性、スケーラビリティが大きく向上

CRM SaaS(salesforce, sansan, hubspot etc)の充実 → マーケ組織や営業組織のセットアップコストが大きく低下、生産性、スケーラビリティが大きく向上

これらの変化が大きいと思います。もちろんこの間もマーケプラットフォームやクラウドは進化していますので、開発生産性やマーケ生産性はより高くなった状態に加えて、こういった生産性変化がおきたことがBtoBやバーティカル特化なビジネス領域でも大きく事業の競争環境を変えたと考えています。

では今後どうなっていくのかでいうと、こういった汎用的業務だけでなく、バーティカルな領域(例えば自動運転のソフトウェアがでてくる、医療診断のソフトウェアがでてくるetc)でも「業務生産性」のルールを大きく変えるソフトウェアが登場してくるはずです。その都度、toC, toBの事業の競争環境が変わったように、バーティカルな領域の競争環境も変わっていきます。その変化を起こすのは「ソフトウェア」です。こうした競争環境を変えていく「ソフトウェア」に合わせて、最適な業務・最適なビジネスモデル・最適なUXを作り直していくのが、これからの「DX」におこることです。

コアとノンコアを意識。ノンコアにはSaaSを

DXの第一歩目として、「ノンコア部分はSaaSを活用し効率化」は非常におすすめできる方法です。

SaaSを活用するプロセスを経ることで、単なる業務効率化にとどまらず、「デジタルを使った業務の肌感」、「デジタルがある前提で業務を再設計する経験」、「会社にとってのコア部分とノンコア部分を再定義しなおす機会」になります。

また多くの会社は、「デジタルなツールの目利き」ができてないのが現状かと思います。こういったツールを選定し、業務を再設計し、活用していくことは「デジタルの目利き力」という見えないアセットを組織にためていくことができるのです。

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ここからは今回開発した事業の宣伝です。

LayerXが提供する「LayerX INVOICE」の領域は多くの会社にとって「ノンコア」な領域かと思います。

LayerXが提供する「LayerX INVOICE」の領域は多くの会社にとって「ノンコア」な領域かと思います。

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弊社調べですが100社ヒアリングし、100社アナログで非効率な処理をしているのが「請求書受領業務」でした。この業務のために内製のソフトウェアを作るのは全くおすすめできませんのでいち早く、ノンコア領域と定義し、弊社のSaaSを入れていただければと思います。

興味がある方はこちらのフォームよりご連絡いただければと思います。

(フォームは上記をクリックすると、飛びます)

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LayerX CEO, Gunosy創業者, エンジェル投資家。大学時代はコンピュータサイエンス・機械学習を研究していました。テクノロジーを武器にしたスタートアップエコシステムの拡大に人生を賭けています。