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DXは不要かも!?―DX以外の選択肢も検討しましょう

こんにちは。グローバルでDXの調査・支援をしている柿崎です。

私がCDO Clubに所属していることはこれまで何度か書きました。CDO Clubは、企業・行政組織のDXのリーダー(CDO:Chief Digital Officer/ Chief Data Officer)が集まるグローバルなコミュニティです。
私はこのCDO Clubの日本の事務局を担当しております。立場上、多くの企業・行政組織の方々からDXに関する相談を頂きます。
特に新型コロナウイルス禍で猫も杓子も「DX」と言う状況になり、「うちでもDXをしたいが何をすると良いか?」という相談が増えました。

私が訪問した組織の中には、DXが不要な組織、あるいはDX以前の問題を抱えている組織があります。経験的には半数以上がこのような組織です。
そのような組織は、以下の3パターンに分類できます。
-デジタル企業
-DXよりIT化や業務改善のほうが良い企業
-DX以前にガバナンスに問題がある企業

デジタル企業

DXは読んで字のごとく「デジタル技術で組織を変革すること」であり、「アナログ企業がデジタル企業に生まれ変わること」とも言い換えられます。
つまりDXが必要な企業はアナログ企業です。
例えば、海外ではグーグルやアマゾン、日本ではヤフーや楽天、Sansanのようなデジタル企業は、デジタルを起点にビジネスと組織が成り立っていますので、そもそもDXの必要性がありません。
ときどき、デジタル企業の方々から「DXという言葉をよく聞くようなった。当社でDXは何をすると良いか?」という相談を受けることがあります。
このような場合、「御社はデジタル企業なのでDXは必要ありません」と答えています。
特に新型コロナウイルス禍で猫も杓子も「DX」と言う状況になり、「DXって何?」と悩むデジタル企業が増えているようですが、悩む必要すらないのです。

DXよりIT化や業務改善のほうが良い企業

私が訪問した企業で、既存のビジネスモデルに問題がなかったり、アナログに強みがあるにもかかわらず、DXが遅れていると悩んでいる企業がありました。
何度も書きますが、新型コロナウイルス禍で猫も杓子も「DX」と言う状況になり、「うちの会社はDXが遅れてしまった」と焦る方々がいます。
DXはデジタル技術を活用した変革であり、一朝一夕でできることはありません。
身近なデータを収集・分析して既存の業務プロセスにおけるボトルネックを認識し、IT化や業務改善をしたほうが効果的な場合があります。
普段の仕事における基本を怠り、DXというマーケティング用語に踊らされてはいけません。

DX以前にガバナンスに問題がある企業

2021年は大企業の不祥事が散見されました。このような企業はコーポレートガバナンスに不備があります。
DXはトップ自ら旗振り役となって取り組む「変革」です。ガバナンスに問題がある多くの企業がDXに取り組んでいます。ただ、そのような企業では、「DX」という言葉が、企業価値を毀損する経営陣が居座るために都合のよい言葉になってしまっているように感じることもありました。
日本では、ガバナンスに問題がある企業のDXのリーダーがイベントに登壇し、DXについて講演している光景を見かけます。
ガバナンス改革をなおざりにしたまま取り組むDXは、本来のDXとは言えないもの(IT化やデジタル企業への投資をDXと言う等)に取り組んでいるように思われます。

今回は私がこれまでに訪問してDXが不要に思われた組織、DX以前の問題がある組織について書きました。
DXは手段であり、選択肢の一つです。
あなたの組織が今取り組むことは本当にDXですか?DXが必要ない組織、あるいはDX以前の問題を抱えている組織、に該当する可能性についても検討して頂ければと思います。

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