「女性だからね…」というモヤッとした発言には、スキルの見える化が有効かもしれないと思った話
日本の女性管理職比率に注目が集まっています。努力義務では、先進国平均に到達が難しいのかもしれないという雰囲気にもなりつつあります。実際、下記の記事では、女性管理職比率を上げるために欧米で採用されている「女性登用義務化≒クオーター制度」についての言及もあります。記事中の、目標未達成の企業のコメントをみると、「そもそも女性管理職希望者がいないから」という寂しい意見も見られます。経済学の考え方でもある、人を憎まず、制度を憎めという思考が根底にある私としては、なりたくなるような制度設計をみんなで作ろうよ!と感じる部分もあります。ただ、私個人としては、この10年間で徐々にですが、小さな変化を感じる部分もあります。
女性登用と言うと条件反射のようにでる、アノ批判
女性登用の話が出ると、能力で選べという反論を耳にします。ただし、女性登用の高まりの背景には、今までは男性だからこそ登用されやすかった社会だったわけであり、登用されてきた男性の全てが能力で登用されてきたかは謎です。女性管理職の存在が皆無な時代にも、縁故採用なんて言葉はあったわけですし…。実は政治経済学の分野の学術研究を見ると、年配の男性中心のグループで人選ばかりしてきたせいで、コネ登用でしか採用されないような能力が高くない男性が登用されやすくなっていたとする下記の研究が存在します。これは欧州の政治の世界の研究ですが、株式会社の世界には絶対に当てはまらないと断言できるものでしょうか?ジェンダーダイバーシティは、能力登用と両立しうるものなのです。
こうしたエビデンスの蓄積もあってか、10年前ならば条件反射のように出てきた、まずは能力登用だ!生意気言うな!との批判も、かなり減ってきたように感じます。もちろん、私の肌感覚ではあります。
マイノリティだからこそ自分のスキルを見える化に注力が重要かもしれない
加えて、女性登用となると「女性だからね…」というモヤッとする言葉も多々登場します(笑)。大きな仕事を獲得したり、成果が出ても「女性だからね…」という言葉のダメージ力はすごいです。
じゃあ、そんな言葉に負けないためにはどうしたらいいのか?女性というビジネスの世界のマイノリティだからこそ、私は能力の見える化が重要になると思います。例えば、資格や学位です。経験はもちろん重要ですが、経験の重大さを示す客観的な指標を作るのは難しいもの。だからこそ、客観的に能力の見える化を促す資格や学位というのは協力であり、「女性だからね…」という言葉を一蹴する力があると思うのです。下記の研究では、イギリスにおける社会人の資格取得による賃金UP効果を検証していますが、男性よりも女性の方が賃金UP効果が高いことを示しています。女性というだけで、賃金を低くされていた可能性があり、資格や学位による能力の見える化には、それを打破する力があるのかもしれません。
私がロールモデルにしているある女性は、上場企業の副社長にまで登り詰めただけでなく、博士号も取得して能力の見える化を徹底していました。
現在、博士後期課程でもがいている私ではありますが、自分がどういう人間でありたいのか、何に負けたくないのかを整理しつつ、更にもがいて見ようと思います!
ということで、さあ、これから論文執筆です!
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エコノミスト 崔真淑(さいますみ)
*画像は、崔真淑著『投資1年目のための、経済・政治ニュースが面白いほどわかる本』より引用。無断転載はおやめくださいね♪