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フリーランス・ギグワーカーの増加と、非正規雇用形態がセーフティネットの顔をする違和感

先立ってフリーランスが増加基調というニュースがありました。増加基調とはいえ、グラフでは微増なので、実感しづらいところもあります。ただ、このニュースを見るとギグワーカーを含んでいるという点に注意が必要です。

パートやアルバイトは労働契約ですが、ギグワーカーはフリーランスに区分され、業務委託契約になります。

雇用の創出という観点や制度の充実もあり、これらの働き方が肯定されつつありますが、私自身のワーキングプアの経験や、採用支援を通じて見えてくる第二新卒界隈や就職氷河期世代の雇用問題に対峙すると、市場原理のままにしておいて良いのか疑問に感じます。


ギグワーカーへの労働環境改善が進行中

ギグワーカーを取り巻く制度の充実については、いくつかニュースになり始めました。

ギグワーカーは個人事業主に分類されるため、労基法の対象外です。下記の記事では、2024年中に対応しようとする厚生労働省の動きを伝えています。

新たに指針をつくって従業員と同じように最低賃金を適用し、有給休暇の取得ができるギグワーカーを認める。法律の運用面から多様な働き方に対応する。

また、先日始まったデジタル給与(PayPay給与払い)もギグワーカーに即日払いを提供するプラットフォームとしての側面があります。

日本では給与の支払いは月1回払いが一般的だが、デジタル払いが広がれば、将来的には週1回や隔週の支払いが増える可能性がある。単発で仕事を請け負う「ギグワーカー」などにとってはメリットだ。

非正規雇用がセーフティネットのような顔をしている違和感

働く上で労働条件が改善されるのは良いことですが、あくまでギグワークなので持続可能な働き方とは言えません。

私もワーキングプア時代に時給1200円(後半は交渉して1400円)のアルバイトプログラマーをしていた時期があります。その前は大学で研究員として仕事をしていたので、合計6年少々の期間を業務委託で生活していました(ちなみに有期研究職や教員の人たちはフリーランスとは口が裂けても言わないように思います)。

この期間は、時間精算で契約していた場合の厳しさを感じた時期でもあります。

例えば、毎月働いた時間で得られる金額がギリギリの生活を維持するためのものであった場合、就職活動のために20時間を削ると、20時間分の収入が減ります。転職活動が難航した場合、転職活動のために時間を削ることを躊躇するようになります。年齢に対する経験やスキルが不足していると内定が出にくく、就職活動に費やした時間に疑問を抱くようになります。

第二新卒のエージェントなどと話していても聞きますが、正社員になれるチャンスがあっても、今の生活を守るためのアルバイトを優先せざるを得ず、転職活動を最後まで続けられない人が少なからずいるとのことです。

ギグワーク、フリーランス、派遣、アルバイト…雇用形態は様々ですが、基本的に時間に対する対価を支払うタイプの非正規の働き方が多い中、彼らの権利を守る仕組みは、あくまで短期的なものでしかありません。中長期的には正社員化支援を優先すべきだと考えます。それにもかかわらず、時折『雇用の創出』という形でセーフティネットのような顔をしている現状に、非正規が長かった者としては強い疑問を感じます。

ポジティブな方のギグワーク

ポジティブなギグワークもあります。

大人のキッザニア

職業を模索するためにお試しをするというのは、就職活動やキャリアチェンジにおいて、履歴書に傷がつかないので良いでしょう。経営層が市場調査目的で内部潜入するようなスタイルも耳にします。本業があり、生活基盤がある上で手掛けるのであれば自由にすれば良いと思います。キャリアチェンジの練習としての位置づけなどは、履歴書が傷まずに適性と現実を知ることができるので良いと思います。

実績に基づいた人材紹介

タイミーの人材紹介事業などは非常に興味深いものです。タイミーの現場での評価をもとに人材紹介を受けられるということで、非常に価値の高いリファレンスチェックになります。勤怠が良い、勤勉であるといった評価は、年齢を超えて評価される可能性があり、非常に期待しています。非正規人材を扱う事業者すべてに、この姿勢で取り組んでいただきたいと思います。

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