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生活を維持するために必要な労働力が確保できない問題にどう向き合うべきか

深刻化が進む地方の人手不足

少子高齢化で労働人口が減少する中、労働力の需給ギャップから人手不足が深刻化している。この人手不足は、大卒が採用できないやエンジニアが不足しているという問題とは異なる。また、地方を盛り上げて、魅力を上げればどうにかなるという問題でもない。単純に数が足りないことから来る問題だ。

日経新聞の記事によると、飲食業やタクシー業を中心として、九州・沖縄企業の7割が正社員不足に陥っているという。定年制を廃止して、シニア人材の雇用を促進したところで解決できる問題でもなさそうだ。というのも、これらの人手不足が深刻化している業界は、身体的な負荷が大きい傾向にあるためだ。例えば、シニアの免許の返納が問題になっている一方で、シニア人材のタクシー運転手やトラック運転手を増やそうというのではやっていることがチグハグになってしまう。

2040年には1100万人以上が不足する

人口の問題が起因して深刻化している人手不足は、生活を維持するために必要な労働力だ。介護やゴミの収集、インフラ整備、建設、運輸・物流、交通、小売、飲食、農林水産など、私たちの生活を支えてくれる業種の多くが労働集約的な構造を持つ。つまり、大人数の働き手がいることで成り立っているビジネスモデルだ。需要があっても、担い手がいないとサービスの供給ができない。

リクルートワークス研究所の試算によると、2040年には1100人万人余の労働供給が不足するという。労働力を必要とする需要はほぼ横ばいで推移するため、単純に人口減少からくる供給不足が原因だ。加えて、47都道府県の中で、この問題から唯一関係ないのは東京都だ。東京都のみ、労働需給ギャップが需要過多となっている。このことから、東京からはこの問題の実態が見えにくく、実感も沸きにくいために弊害が生じるのではないかと危惧されている。つまり、生活を維持するために必要な労働力を確保するという問題は、当事者である地方が真正面から課題に向き合い、解決のために取り組む必要がある。

多くの道府県では、2030年まではやや不足しているような状態で推移すると予測されている。しかし、2030年から2040年の10年で、人手不足の深刻度は一気に加速する。つまり、2030年までの7年以内に手を打たないと、将棋で言うところの詰みの状態になりかねない。

課題解決のために、地方が独自にできることは多くあるだろう。地元の経済団体が主体となって、国際化を推進して海外からの移民を増やすのも1つのオプションだ。群馬県大泉町は10人に1人以上がブラジル国籍やペルー国籍で、岐阜県美濃加茂市も南米国籍の住民が多い。また、地方の中小企業単位でもDXを推進することで労働集約的な産業構造を変えようと動くこともできる。まずは、自分たちでできる取り組みから始め、問題の解決のために少しでもアクションを起こそう。

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