今日のテーマは「うつ」です。
 
 そもそも、試練や困難が避けられないのが人生です。
 人間関係には常に問題が起きがちです。
 しかも、自分や周りの身体的な不調が重なることもあります。
 いつでも、誰にでも起こりえます。
 従って、うつには、誰もがなる可能性があります。
 意外に、もろいのが、人間です。
 
 これまで、うつになった人に対し、
 その人が生真面目だからとか、内向的だからという
 説明がされることがあります。
 
 しかし、その説明に、私はしっくりきてませんでした。
 もちろん本人の性格は多少影響はあるでしょう。
 
 しかし、ニキビが頬にできたことを、頬の特徴で説明しても意味はありません。
 ニキビには、背景に、食事や運動などの生活習慣と身体全体の問題があり、それが、たまたま頬に出たと考える方が納得できます。

 うつも同様だと思います。うつになった人の特徴ではなく、
 その背後にある組織の状況に注目する必要があります。
 
 最近、このメンタルヘルスに関して画期的な発見がありました。
 
 私は、東工大で、大学院生の指導を行っていますが
 この矢野研究室の博士課程のジョン君が、
 これまで収集してきた大量の組織データを
 丹念に解析した結果、実は、あなたの周りのつながりの構造が、
 あなたのメンタルヘルスと関係することを発見したのです。
 
 この画期的な発見に関する論文が、権威ある
 英国科学誌Nature/Scientific Reports誌に掲載されました。
 https://www.nature.com/articles/s41598-022-14366-9

 具体的にお話しましょう。
 あなたがよく話をしている2人なのに、
 その2人同士は話さない関係(V字型のつながり)があると、
 あなたはうつになりやすくなるのです。
 
 例えば、あなたが、ライン上の上司と、
 参加しているプロジェクトのリーダーの両方と
 よく話をする立場だとしましょう。
 この二人の上司がそれぞれの立場で違う意見をいうばかりで
 互いに話をしないと、あなたは苦労することになります。
 
 別の例では、娘が夫と直接会話しない状況では、
 家族で何をやるのにも、その間に立っている妻(母)が苦労します。
 我々の悩みの多くは人間関係がらみです。
 
 だから、人が幸せでいるためには、
 周りに三角形のつながりが大事なのです!
 これは、組織で見ると、組織図通りの
 縦のコミュニケーションだけではダメで、
 横や斜めのつながりが必要だということも意味します。
 上記の論文では、これが、組織や業務に関わらず
 普遍的(Universal)に見られることを明らかにしたのです。
 
 私は、Happiness Planet Gymというデジタルサービスで、
 横や斜めのつながりづくりを実践していただいています。
 上記を考慮すると、この横や斜めのつながりがあることで、
 落ち込んだり、うつになりにくくなることが期待されます。
 即ち、不幸な状態になりにくくなるのです。
 
 メンタルなウエルビーイングのためには
 周りのネットワークに三角形で横や斜めにつながることが必要です。
 この知見を意識し、心とつながりのウエルビーイングを目指しましょう。
 
 矢野
 


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