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外国人労働者受け入れは現場のマネジメント改革とセットで運用しよう

人手不足解消と外国人労働者の受け入れ

人口減少による絶対的な労働力の不足が起きている日本社会において、外国人労働者の受け入れ増が喫緊の課題だ。欧州とは異なり、外国人労働者の受け入れに対する慎重な議論をすべきだという姿勢を数十年にわたってとってきたが、そろそろ限界が近づいている。このままいくと、近い将来、生活基盤を整えるために必要なエッセンシャルワーカーが不足する。これは失業者の就業や他の業種からの融通では賄い切れない人口の問題だ。

とはいったものの、現状でも外国人労働者の受け入れでは問題が多い。特に、世界的にも問題視されているのが外国人技能実習制度だ。しかし、制度としての批判もある中で、外国人技能実習生の人数は年々増加傾向にある。技能実習は単体の就労資格の中で最も多くの割合を占め、18.8%となっている(2022年)。特に、ベトナムをはじめとした東南アジアからの技能実習生の数が増加傾向にある。

失踪する技能実習生

技能実習生は、本質的には労働者ではなく、技能を学ぶための訓練生だ。しかし、その実態は低廉な賃金で雇われる労働者として扱われることも少なくなく、外国人技能実習生ありきで事業運営をしているケースも少なくない。米国の国務省からは、「世界各国の人身売買に関する2022年版の報告書」を発表し、日本の外国人技能実習制度が外国人の「人身売買」にあたるとして指摘されている。

技能実習生の失踪者数も年々増えており、2022年には約9,000人が行方不明となっている。労働環境や生活環境の悪さから受け入れ企業から失踪する実習生は後を絶たない。また、実習期間終了後も日本で働きたいと脱走し、不法滞在者として不法就労に従事する犯罪の温床となるリスクも抱える。

このような問題もあり、技能実習生制度を廃止 「育成就労制度」に名称変更して、新制度としてスタートさせるように有識者会議で最終報告書が取りまとめられた。

現場のマネジメント改革に支援はいらないのか

制度の見直しが迫られている技能実習制度だが、問題の多くは派遣先企業の現場で起きていることが多い。給与の不払いや不正労働は言語道断だが、実際に働く実習生と話していると、彼ら・彼女らの悩みの多くが現場でのマネジメントや職場のコミュニケーションの問題であることが多い。

例えば、勤務先では日本的な価値観で「当たり前だ」と考えている働き方(5S、上司の言うことには従う、仕事は見て覚える等)が理解できず、言語の問題から説明を求めることができずに不信感だけが募ってしまう。また、先に来ていた実習生と折り合いがつかず、実習生内で派閥争いやイジメが起きることも少なくない。職場でのハラスメントもよくある相談事項だ。そもそも、技能実習制度について理解していない実習生も珍しくない。

価値観の異なる外国人と働くことは簡単なことではない。それは実習生もそうだが、受け入れる日本企業側も同様だ。お互いにストレスを抱えやすい環境であり、問題も起きやすい。
海外展開している企業では、現場でのマネジメントに苦労し、多大な教育コストを支払っている。それは現地採用のスタッフに日本企業としての働き方を学ばせるだけではなく、管理監督する日本人マネジャーに対するマネジメント研修もセットだ。
しかし、技能実習生を受け入れる企業の多くは中小企業であり、人材育成に割くことができるコストが十分ではないことが多い。そのため、通常よりも問題が起こりやすい現場を、訓練を受けていない現場マネジャーが管理しなくてはならない。つまり、現場レベルでの問題が非常に発生しやすい構造になっている。

日本の現場のマネジメント・レベルが高いと言われていたのは、昭和のビジネスモデルが通用した時代だ。しかし、近年は名だたる大企業であっても不祥事が絶えない。今年は年末の最後の最後にダイハツ工業の大きなニュースが報道された。
国内で日本人だけで事業をするのであってもマネジメントは容易ではない。それにもかかわらず、外国人と協業するとなると、マネジメントの難易度は上がる。
外国人労働者を増やし、日本での有意義なキャリアを歩み、定着してもらうためには、現場のマネジメントレベルを挙げなくてはならない。そのための教育投資は企業だけが負担するのではなく、行政も一体となって取り組む必要がある。


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