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アメリカのCO2は減ってます。シェール革命のおかげでね。

1月14日付の日経1面の記事「エネルギー地政学一変 米原油生産45年ぶり首位 脱・中東、米国第一が加速」 を読んで。

米国の原油生産量が増えているのは確かですが、米国の中東への依存度は元々10%程度だったはず。日本にとって中東の原油は今でも生命線ですけれど(生命線であることを忘れている方も多いのですが)、石油も石炭も天然ガスも持つ米国は全く別の立場にいることを踏まえて記事を読んだほうが良いかもしれません。

ただ、私は中東情勢などは専門ではないので、この記事が触れていない温暖化とシェール革命を取り上げたいと思います。
実はアメリカはこのシェール革命のおかげで、CO2はかなり削減が進んでいます。この記事は、2017年にCO2排出量を増やした国、減らした国それぞれ上位10か国を上げていますが、減らした国のトップはアメリカ。もともと排出量が大きいとはいえ、です。ちなみに、減らした国上位10位に日本もランクイしています!で、増やした国は鉄板の中国、インド、そしてトルコに続いてEUが4位です。イメージと違いますよね?

米国がかなりのCO2削減をしたのは、2017年だけの特異な現象ではありません。シェール革命によって国内に安価な天然ガスを得たので、石炭から天然ガスへの燃種転換が進んだのです。CO2排出量については、天然ガスは石炭の約半分なので。

オバマ政権時代に米国が国連に提出した温暖化の目標は、基準年が2005年になっていましたが、あれはシェール革命でどんどんCO2削減がどんどん進むちょっと前、ということだったのです。最もたくさん排出していた時期を基準とすると、いかにも削減量が多く見えるからです。EUが四半世紀も前の1990年を基準年として手放さないのと同様。ちなみに日本も近年で最も排出量が多かった2013年をパリ協定の目標の基準年にしてます。要は皆いかにも大きな数字を削減しましたと言いたいんですよね。ちょっと計算すれば、すぐ横並びの比較は可能なのですが、印象大事ってことです。

トランプ大統領がパリ協定を離脱したことなどで、「米国は温暖化に逆行している、トンデモナイ!」という向きもあるのですが、実は掛け声がご立派なEUよりも、近年のCO2削減では実績があるのです。ただ、温暖化対策のための努力によるものでは全くありません。要は温暖化対策を進めるには、技術開発によって安価で便利な省エネ商品・エネルギーを提供するしかない、ということですね。

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