10代の若者の身長低下がとまらない?
※追記
最新のデータにアップデートした記事をこちらに上げています。
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日本人の平均身長は、明治時代からの栄養・衛生状態の改善により、ここ100年間で約15cm伸びています。しかし、その身長の伸びが近年止まってしまったどころか、逆に低身長化の傾向にあるという事実をご存じでしょうか?
厚労省「国民健康・栄養調査」のデータを基に、2005年以降の年代別平均身長の推移がこちらです。
20-40代の男性の平均身長は、ほぼ170㎝を超えています。50代でも2017年にはじめて170㎝を突破しました。ですが、18-19歳男子の身長が直近2年連続低下し、170㎝に達しないという低身長化が見られます。微差ではありますが、50代のおっさんに10代の若者の身長が逆転されたということです。
ちなみに、かつてバブル時代、モテる男の要素は三高「高身長・高学歴・高収入」などと言われたりもしたもんですが、今の50代とは、バブル時代に20代だった人達です。現代では四低「低姿勢(威張らない)・低依存(家のことを妻に丸投げしない)・低リスク(安定した仕事)・低燃費(浪費しない)などとも言われているので、そうした状況も反映しているんでしょうか。
文科省の「学校保健統計調査」から高校3年生である17歳男子の身長の変化を2005年と2018年とで比較したものが以下です。
明らかに、2018年の17歳の方が2005年の17歳より身長が低くなっていることがわかります。具体的には、155-170㎝台の身長が増え、171-186㎝台の身長が減っています。
これは男子だけの傾向ではなく、女子でも同様です。
若者の低身長化の原因とはなんでしょうか?
栄養不足・運動不足・睡眠不足など考えられる原因はありますが、国立成育医療研究センターの見解によれば、「低出生体重児」の増加であると言われています。
「低出生体重児」とは、出生時2500g以下で生まれた子を指します。
1950年から2017年7にかけて、2500g以下の低出生体重児の構成比がどのように推移しているかを表したグラフが以下です(男子のみ)。
確かに、1980年代と比べると、2005年以降は倍近い8-9%台を推移していて、しかもその値が最近12年継続している点が特徴です。これは女子も同様です。
とはいえ、全体に占める構成比は1割にも満たないではないか、というご意見もあるかと思いますが、低出生体重児ではない、2.5-3.0kgの子まで含めると、1975年の27%から2017年43%まで1.6倍に増えています。明らかに、出生児の体重は減ってきていることがわかります。
出生体重が低いと成人身長が低くなりやすいことは海外でも多く報告されていて、相関があります。事実、低出生体重児がもっとも少ない1975年生まれの現在44歳の平均身長の方が、10代より高いわけですから。このまま低出生体重児が増えるのであれば、当然成人の身長も低くなっていくことでしょう。
また、前述した国立成育医療研究センターによれば、身長が低いほうが高血圧、冠動脈疾患、脳血管障害を起こすリスクが上がり、平均寿命も短くなりやすいそうです。人種や国に関わらず。こうした状況が続くと、人生100年時代なんてやってこないかもしれませんよ。
マツコさんの「月曜から夜ふかし」でも紹介されました!
追記2021/7/28
最新の統計では急に身長が戻ったようです。はて?