チームを動かすカレンダーのデザイン #新しいことの習慣化

個人の習慣と、集団の習慣がある。集団の習慣をつくるには「カレンダーをハックすること」とぼくは教わった。

MIMIGURIで組織づくりのコンサルティングをしているが、70人の組織体制になり、自分たちの組織づくりも余念なくやっていかなければならない。そんななかで、「カレンダーのデザイン」は重要な位置を占めている。

たとえば、ぼくが所属しているコンサルティング事業の7人のチームでは、こんなふうにカレンダーをつくっている。

カレンダーデザインの4つのポイント

❶カレンダーをつくるまえにチームの理念を分かち合う

理念として「チームのマネジメントはみんなでやる(マネージャーは責任者ではあるが実務はみんなでやる)」というものがある。その理念に基づいて、チームマネジメントのタスクを、チーム開発、事業推進、業務推進の3つに分解した。

その目的に沿って、月曜日の朝会、チーム定例、事業推進会議を週次で設定。加えて、「チームキャンプ」と題した2時間のミーティングを月次で設定している。

❷業務推進は「詰める」のではなく、支え合う

朝会では業務推進をになう。1週間のタスクをみんなで書き出し、お互いにサポートできるものがないかを探る。

通常、マネジメントというと業務管理のことを連想されることが多いように思う。その結果、できた業務を確認しながら、できていない部分を洗い出し、実行を促進するようなシーンが多く生まれる。場合によってはマネージャーからメンバーが「詰められる」こともある。「お前なんでこれやってないんだ、時間あっただろ」みたいな感じだ。

しかし、マネジメントは、事業価値と人とチームの成長を両立するための場だ。こんなふうに詰めるだけでは、人のやる気は出ない。

チームの場では、まずみんなで「どんなことを進めようとしているのか?」を洗い出し、それをお互いに眺めるところから行う。そのなかで、とりわけ悩みが濃いものに関しては、プロジェクトチームの場に持ち込んでもらったり、1on1でサポートを入れる。

業務を管理するのではなく、業務を進めることを支え合うようにするのがポイントだ。

❸チーム開発で、お互いの関心に関心を寄せながら、事業機会につなぐ。

チームの関係性を耕していく「チーム開発」は、チーム定例の場とチームキャンプの場をつかっている。

チーム定例では、全社のアナウンスや検討事項を話すのを基本としつつ、残りの時間でチーム開発機会をつくる。たとえば、お互いの半期の期待値をシェアしたり、次回のチームキャンプのプログラムをみんなでワイワイ作ったりする。

月に一回のチームキャンプでは、相互理解につながるワークや、チームの理念づくりのワーク、一定期間を深くリフレクションする学習機会などをみんなで相談しながら作っている。

仕事に直結するしないに関わらず、お互いの関心に関心を寄せることがポイントだ。期待値をもって働いていくうえでどんなことに面白さを感じているのか、仕事とは別の場面でどんなことを探究しているのか。

そうしたことを分かち合うなかで、このチーム開発の場を事業推進に接続することもポイントだ。どんなプロジェクトに次にアサインすればいいか、どんな機会があると関心は実現するのかを検討したりする。

❹事業推進は、顧客と社会を見る

事業推進会議では、発注数値・検収数値を確認しながら、お客さんの課題を深掘りし、「本当はやったほうがいいけどまだ着手できていない課題」について対話をしていく。多様な企業の、多様な部門の方々とおつきあいさせていただくなかで、共通する社会的な課題が見えてくるのも面白い時間だ。

業務推進やチーム開発は、ともすれば社内・チーム内に視野が閉じてしまう。それでよいのだが、やはり企業はお客さんに価値をとどけてこそだし、その価値を社会的によいものにしていくことが肝要だ。

だからこの場は自分たちよりもお客さんを主語にする。〇〇さんは何に困っているのか、何を明らかにしようとしているのか。顧客主語の問いで話すことで、自分たちの仕事の価値もわかってくる。

カレンダーデザインを通して事業価値とチーム成長を両立する

このようにチームでマネジメントするための体制を組み、カレンダーに落とし込み、ひとつひとつの会議の場を、みんながワイワイ話せるようなワークショップ型で設計していく。

簡単なことではなく、毎週あたまをなやませながら、みんなで進めている。幸いにもぼくが所属しているチームでは、「会議のアジェンダはマネージャーがつくるもの」というバイアスが払拭されているので、メンバーがアジェンダを組み立てて持ち込んでくれる。場合によっては1on1で事前に話をした上で当日を迎えることもできている。

チーム活動に割いているリソースは、多いかもしれない。だがそれゆえに業務や事業のスタックが減り、より顧客に向き合うことができている。

チームの習慣を作るためにはカレンダーをハックしよう、という話だった今日ここに書いた「カレンダーデザイン」は、もっと奥深いナレッジなので、またどこかで発信したい。




最後まで読んでいただき、ありがとうございます。いただいたサポートは、赤ちゃんの発達や子育てについてのリサーチのための費用に使わせていただきます。