「国際」企業から「グローバル」企業へ
2024年、日経平均株価はバブル越えを果たしたものの、市場に高揚感は乏しく、足元は米国の政局に左右される展開が続く。日本企業に再び投資家の注目が集まる理由としてコーポレートガバナンス改革が評価されているが、本質的に日本の大企業の多くが世界の優良企業として評価されるためには、さらに何が必要なのか?
国内市場は緩やかな衰退をたどるので、積極的に海外に進出する日本企業は多い。しかし、せっかく海外売り上げが伸びていても、企業を運営する土台がしっかりと世界規模で築かれていない例は、同様に意外と多い。このような、真(しん)のグローバル化を果たしていない「国際」企業とはどんな様相だろう?
ブランドが世界統一されていない、グローバル経営陣が日本人(男性)ばかりで占められている、グローバル本社と地域との握りが弱く、KPIや結果責任があいまい―こういった症状が典型的だ。さらに、内部統制が場当たり的で、ひとや組織に地域をまたがって親和性が少ないことは、全世界で共通するビジネスプロセスや働き方が定義されていないことと表裏一体だろう。
こんな「国際」企業はシステムやデータのフォーマットも地域によってばらつきがある。それでもサプライチェーンは国境をまたいでつながっているので、人手を多くかけてやっとやり取りが成り立っている。
では真の「グローバル」企業の像とは?ブランドは世界統一され、グローバル経営陣の出身は多彩、グローバル本社と地域の間には双方向のコミュニケーションと握りがあり、内部統制はしっかり、人事システムは世界共通で優秀な人材を適材適所に移すことができる―もちろんシステムやデータは統一されている、という像になる。
どんな優良企業でも、組織運営の試行錯誤は常に続く。それでも、真の「グローバル」企業として認められるブルーチップ銘柄は存在する。
「国際」企業と「グローバル」企業では、足腰の強さの違いが収益性の差に表れる。総じて日本企業が同じ産業の海外企業に比べて収益性や現金を稼ぐ力が低いのは 、決して規模の違いだけではない。世界に広がる企業運営の土台がどれだけ強靭(きょうじん)かによって、リーダーシップの質から現場の効率性までが左右され、いろいろな次元で収益に影響すると考えられる。
2024年に日本株に向いた投資家の目線が一時の興味に終わることなく持続するためには、日本企業が自らの土台を見直し、真の「グローバル」企業に脱皮することが必要だ。