IMF「財政モニター報告書」のちゃぶ台返し

 「日本の純資産はプラマイゼロ、IMFの新国富論」と題して、IMFの「財政モニター報告書」が紹介されています(ロイター・コラム記事 )。それによると、世界経済生産の61%を占める31カ国の「公的部門の正味資産」の合計額は101兆ドル(約1京1000兆円)に上り、合計国内総生産(GDP)の219%に相当する。一方、「公的債務の合計」は同94%であり、資産はその倍以上あるということになります。

https://jp.reuters.com/article/imf-g20-breakingviews-idJPKCN1ML0NF

日本はといえば、 負債額はGDPの283%に相当するが、その半分以上を日本銀行を含めた政府機関が抱えている。他の資産も考慮に入れて試算すると、日本の「純資産」はほぼプラスマイナスゼロになると、IMFは指摘している由。日本国債暴落のオオカミがなかなか到来しないのもむべなるかな。 一方で、財政黒字を誇るドイツの場合、純資産はマイナスだ、というのです。ここまででも、ちゃぶ台返しの感じです。

こうした試算は完璧からはほど遠いとしたうえで、IMFはこう続けています。「国の富をより明確に把握することは、いくつかのポジティブな効果をもたらす。1つには、純資産を増大させる公共投資と、借金で財源を作った補助金の区別が明確になる。また、よりよく資産を管理するよう国に圧力が加わる」(前出コラムによる要約)。公的部門のバランスシート(資産と負債)にメスを入れる興味深い試みと言えましょう。

財政モニター報告書の要旨(和文)はここ。

https://www.imf.org/ja/Publications/FM/Issues/2018/10/04/fiscal-monitor-october-2018

財政モニター報告書の全文はここから。

https://www.imf.org/en/Publications/FM/Issues/2018/10/04/fiscal-monitor-october-2018

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