学生だけでなく、ビジネスパーソンこそ、STEAM教育なのでは
VUCAの時代だから、広い視点が、ビジネスでは重要
現代は、デジタル技術の急速な進化、AI革命、気候変動、地政学的緊張の高まりなど、複数の大きな変化が同時に進行しています。このような状況は、まさにVUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)という言葉で表現される時代です。特に、新型コロナウイルスのパンデミックは、グローバルサプライチェーンの脆弱性を露呈させ、既存のビジネスモデルの転換を加速させました。さらに、Web3.0やメタバースといった新たなデジタル空間の出現、ESG経営の重要性の高まりなど、従来の延長線上では対応できない課題が山積しています。このように、過去の経験や従来の意思決定モデルが通用しにくい、予測不能な時代に突入していると言えます。
その一つの開発方法は、研修、自己研鑽
このような不確実性の高い時代だからこそ、ビジネスパーソンの継続的な学習と能力開発は極めて重要です。そ
第一に、急速な技術革新とビジネス環境の変化に対応するためには、常に新しい知識やスキルを獲得し続ける必要があります。特にAIやデジタルトランスフォーメーションの進展により、従来の業務プロセスや必要とされる能力が大きく変化しています。
第二に、VUCAの時代では、問題解決能力や創造的思考力が一層重要になっています。社内研修や自己研鑽を通じて、異なる視点や新しい発想を学ぶことで、予測困難な状況下での意思決定力を強化できます。
第三に、組織の持続的な競争力維持には、従業員一人一人の成長が不可欠です。個人のスキルアップは、組織全体の変化対応力や革新力の向上につながり、不確実な時代を乗り越えるための重要な基盤となります。
STEAM教育の紹介
皆さんは、STEAM教育という言葉をご存知ですか?
STEAM教育は、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術(Arts)、数学(Mathematics)の5分野を統合的に学ぶ教育アプローチです。従来のSTEM教育に芸術(Arts)を加えることで、創造性とイノベーションを重視した学びを実現します。
このアプローチの特徴は、各分野を個別に学ぶのではなく、実践的なプロジェクトや問題解決を通じて、分野横断的に学習することです。例えば、ロボット制作では、工学的設計、プログラミング技術、数学的計算、そして美的センスを総合的に活用します。
また、STEAM教育では、批判的思考力、創造性、コミュニケーション能力、チームワークなどの21世紀型スキルの育成も重視されています。実験や試作を通じた実践的な学びにより、失敗を恐れない姿勢や、問題解決に向けた粘り強い取り組み方を身につけることができます。
企業が子どもたち向けに、この教育を支援する活動が日本で増えてきており、とても良いことだと思います。
研修の一つのヒントは、STEAM教育かも
一方、この教育を、大学などの現場で行なっている者からすると、この教育は、学生たちだけのものではなく、ビジネス・パーソンも行った方が良いと考えます。それは、現在のビジネスは、過去の連続戦場に可能性があり、広い視野、視点、思考力が必要で、STEAM教育は、それらにアプローチするからです。
第一に、STEAM教育は分野横断的な思考力を育成します。VUCAの時代では、単一の専門知識だけでは解決できない複雑な課題が増加しています。科学的思考、技術的知見、工学的アプローチ、そして芸術的創造性を組み合わせることで、多角的な問題解決能力を獲得できます。
第二に、STEAM教育は論理的思考とクリエイティビティの融合を促進します。デジタルトランスフォーメーションが進む現代のビジネス環境では、データに基づく合理的な意思決定と、革新的なアイデア創出の両方が求められます。STEAM教育の学習を通じて、この両面の能力を強化することができます。
第三に、STEAM教育は実験的なアプローチと失敗からの学びを重視します。不確実性の高い時代では、仮説検証型の思考と、失敗を恐れない試行錯誤の姿勢が重要です。STEAM教育の実践的な学習方法は、このようなマインドセットの形成に効果的です。
第四に、STEAM教育は新技術への適応力を高めます。AI、ブロックチェーン、IoTなどの最新技術を理解し活用するためには、科学技術の基礎的な理解が不可欠です。STEAM教育を学ぶことで、技術革新への対応力を向上させることができます。
このように、STEAM教育はVUCAの時代に必要とされる、総合的な問題解決能力とイノベーション創出力を養うための効果的な教育アプローチと言えます。
実際に、企業内や企業が教育機関と連携して、企業研修として、STEAM教育を実行している例もあるようです。多くの日本企業では、4月からの新年度の企業研修を議論しているところではないでしょうか?ぜひ、STEAM教育を企業内研修で行なってみませんか?