ビル・ゲイツが勧める「料理の科学図鑑」がおもしろい!
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。
みなさん、料理はしますか? わたしは、レシピ本をみたり、ネットでみた美味しそうなものをつくってみたり、たまに凝ったものをつくってみたくなったりします。でも、料理のやり方というのは煮る・焼く・炒める等、だいたい同じようなものですよね。
先日某サイトのポイントがたまったので、気になっていた低温調理器を購入しました。低温調理器は肉のタンパク質の変成温度に注目することで、レストランのような絶妙な火入れを誰でも再現できるようにした調理器具です。これにより、中がピンクで柔らかいローストビーフや厚切りステーキ肉を自宅でも楽しめるのです!
低温調理を提唱したのはパリでミシュラン3つ星レストラン『アルページュ』のオーナーシェフであり、肉の魔術師の異名をとるアラン・パッサールと言われています。その原理を科学的に捉え開発されたのが、低温調理器。だとすると、料理の世界を科学的に捉え直せば、新しい発見ができる=最高の料理ができるのではないか。
この分野に真剣に取り組んでいるのが、マイクロソフトの初代CTO(最高技術責任者)である、ネイサン・ミアボルドです。
■ゲイツが読んだ唯一の料理本
ゲイツが推薦するだけに、普通のレシピ本ではない。まるで科学図鑑のように分厚くて重い。食材が焼けたり沸騰したりする様子を調理器具の断面写真とともに細かく分析しているためだ。レシピの手順に沿ってハンバーガーやリゾットなどを作ることもできるが、「調理」の仕組みを科学的に捉え直した研究書と捉えるほうが正確だろう。
(略)
「9歳の時に図書館で料理の本を借りて、家族のために感謝祭(サンクスギビング)の食事を作った」。料理に関心を持ったきっかけを聞かれると、ミアボルドが必ず話すエピソードだ。マイクロソフトを辞めて時間ができたころ、最新のテクニックが詰まった料理の本をじっくり読んでみようと思い立った。
だが、そんな本は存在しなかった。書店に並ぶ料理本の内容は、幼いころに図書館で借りた本とほとんど変わらない。目まぐるしく変化するIT(情報技術)業界の最前線にいたミアボルドは拍子抜けした。一方でこうも考えた。「何かの縁かもしれないぞ」
実際に本を開くと、子供のころにみた科学図鑑のようです。30cmほどの大きさでフルカラー456ページ!ずっしりとした重みが、まさに図鑑のそれです。
調理器具を真っ二つにして観察できるようにしたり、細かく温度などを観測し、その変化をまとめていたりします。卵料理の冒頭を見てみましょう。
全編にわたってこのような感じなので、レシピを期待しているとちょっと戸惑うかもしれません。より深く調理の仕組みを知りたい方、新しいもの好きの方には特におすすめします。
「過去を知りたいときは職人の背中を見ればいい。イノベーションを起こしたいときは物事の仕組みを理解すべきだ」と、ミアボルドは語っています。これは料理のみならず、すべての業界に通じる言葉かもしれませんね。
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タイトル画像提供:Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)