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未来の食、支えるのは「ハエ」と「藻」?

正月太りを解消するべくダイエットを再開しようかと思っているきょうこのごろ。引き締まった体を目指すにはよく、タンパク質を意識した食事をとると良いといわれますよね。筋肉や皮膚の原料となるタンパク質は人間の生命活動を維持する上で欠かせない栄養素です。

そのタンパク質が近い将来、不足するかもしれません。タンパク質の主な摂取源は肉類などですが、世界の人口増や食文化の変化に伴い肉の需要が増え、食肉や家畜を育てるための飼料の供給が追いつかなくなる可能性があります。人類にとっても、無類の肉好きの筆者にとってもこれは死活問題です。「タンパク質危機(プロテインクライシス)」――。この世界的な問題に立ち向かうべくあらわれた救世主が「ハエ」と「藻」です。



これらを活用して持続的なタンパク源を生み出すスタートアップ企業を取り上げています。たとえば、大豆よりもタンパク質の含有量が高い藻類「スピルリナ」。これまではあまりおいしくない、というのが難点だったそうですが、生で瞬間冷凍する技術により無味無臭の状態を保つことが可能になり、ほかの食品と組み合わせて食べられるようになりました。タンパク質を取り出して加工し、「疑似肉」のような別の食品開発への応用も検討されています。

福岡市のスタートアップ企業では、家畜のふんや食品工場から出る残りかすなどと「イエバエ」を組み合わせて、一般的な工程よりも短期間で、環境負荷も少なく効率的に飼料や肥料を作り出しています。

おいしいものを食べるのは人生の楽しみの1つです。今は毎日食べられているお肉も、いずれは供給量が足りなくなって価格が上がってなかなか食べられなくなる日が来るかもしれません。ただ、技術革新によって、味も見た目もかわらない疑似肉のような人工食品が誕生して当たり前のように食卓に並ぶ日がくる、という可能性も考えると、不安半分、好奇心半分ですね。未来の食はどんな味がするんでしょうか。

(日本経済新聞社デジタル編成ユニット 佐藤亜美)

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先端技術から生まれた新サービスが既存の枠組みを壊すディスラプション(創造的破壊)。連載企画「Disruption 断絶の先に」は、従来の延長線上ではなく、不連続な変化が起きつつある現場を取材し、経済や社会、暮らしに及ぼす影響を探ります。