早く辞めたい若者、働き続けたい高齢者
昨今、FIRE(Financial Independence, Retire Early)という言葉が流行っている。一般的には「経済的独立を果たし、早期退職することで自分らしい人生を歩む」という意味で、若い層をはじめとして、徐々に一般層に受け入れられてきている概念である。
しかし一方で、興味深い記事を目にした。それが次の日本経済新聞の記事である。
これは内閣府が60歳以上の男女3,000人を対象に調査した結果らしいが、25%の人が「75歳を超えても働いていたい」と答えている。
さらに調査対象者を60歳以上で収入がある仕事をしている人に絞り込むと、44%が「75歳を超えても働いていたい」と回答している(いずれも「令和5年版高齢社会白書」より)
皮肉なコントラスト
このコントラストがなんとも皮肉であると同時に、ふとこんなことを思った。
若者はまだ大きな仕事を任されることも少なく、上司や先輩の言ったとおりのことをこなすだけで、仕事の面白さをまだまだ理解していないのではないか。
そして高齢者は多かれ少なかれ何人かの部下や後輩を持ち、人を動かして大きな仕事を責任を持って動かしてきた経験があり、想像を絶する苦労の中に面白さを見出しながら頑張ってきたのではないだろうか。
自身の経験
僕自身、経理課に配属されてロボットのように伝票入力をしていた新入社員時代、仕事なんて微塵も面白いと感じたことはなかった。結果として10ヶ月ほどで退職を決意した経験がある。
しかし転職し、マーケティング部や経営企画室に配属となり、何もないところから自分で分析し、戦略を立て、人に動いてもらうことを経験したときに、「仕事ってなんて面白いんだ!」と感動した経験も記憶に刻み込まれている。
他人軸の人生、自分軸の人生
つまるところ、「何に対しても主体的に取り組むことができたか」。その一言に尽きるのだろう。
他人の指示通りにいくら仕事を頑張ったとしても、それは他人軸の人生を歩んでいるに過ぎない。自分が合わない仕事であっても無理をしてこなさないといけない。それが行き過ぎると、精神的に疲れてしまうこともあるだろう。
逆に、人生の中で自分はどう生きていきたいのか、確固たる自分像を持って自分軸の人生を歩むことでこれから進んでいくべき道もクリアに見えてくる。
他人軸の人生ではなく、自分軸の人生を生きることが、仕事でもプライベートでも、ストレスなく自分らしい人生を送る鍵となるのだ。
さて、こう考えたとき、上記の皮肉なコントラストは次のようにも捉えられる。
若いうちは、まだまだ指示されて動くことが多く、他人軸の人生を生きなければいけないシチュエーションが多いことだろう。
であれば、仕事がつまらない、仕事を辞めたいと感じても仕方ないのかもしれない。
一方で60歳を過ぎた高齢者は、場合によっては定年退職。退職金も受取って、お金にも時間にも余裕があり、ある意味FIRE状態である。
その状態で働きたいなと思えば働いてもいいし、遊びたいなと思ったら遊べばいい。本を読みたければ読めばいいし、美味しいもの食べに行きたいと思えば行けばいい。
そういう主体的な人生観の中で、人生の大先輩である彼らにとって、仕事というのは、人生に刺激や彩りを与えるファクターの1つであるのかもしれない。
自分軸で生きていくために
こうしてみると、若い人たちが仕事においてもプライベートにおいても、自分軸で生きられる世の中になればいいなと思う。
ただし、言葉で表現するのは簡単だが、実行は容易なことではない。
繰り返しになるが、自分軸で生きるためには、自分自身を見つめ直し、何度も深く考え、次のことをしっかりと考えて結論づけていかなければいけないからだ。
それは現実を見つめ直すことでもあるし、時には見たくない自分の姿と向き合わなければならないことでもある。
そんな自分と向き合わずにフタをしてしまうことの方が簡単だし、盲目的に他人軸に合わせて生きていく方が自分の頭で考えることなく、仕事に責任もなく、楽に生きていけるかもしれない。
人生の楽しさと、自分と向き合うことの重さは、表裏一体である。
その重さに耐え、自分と向き合い、自分を理解しきったとき、目の前がパァっと開けてくるだろう。
重いかもしれないが、若い人たちには、早いうちに自分軸で生きていく道筋に辿り着いてもらいたいなと思う。
背中を押した本
なお僕は、「自分の強みは何なのか、自信をもって自分軸で人生を歩んでいくためにはどう考えればいいのか」、何度もこの本を読み、納得をした上で、自分軸で生きていくために会社を辞めて作家になることを決め、実行に踏み切った。面白いことに、自分の本に背中を押された格好である。
あなたの好きで得意で、自分軸で生きられることは何ですか?
人生でやりたいことは何ですか?
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