見出し画像

変化することで広がっていくキャリアの選択肢〜売る営業からコミュニケーションデザイナーへの変身

最近、大学の講義に呼んでいただき自分のキャリアの話をしたり、現在の仕事についてオンラインイベントで話す機会が立て続けにあり、ちょうど自分のキャリアの棚卸をしていた折、日経COMEMOで #教えてください 。あなたが変身した話 というテーマが目に留まりました。

私は現在、PeatixにてCMO(最高マーケティング責任者)として、グローバルを含めたPeatix 全体のコミュニティマネジメント・マーケティングを統括しています。ポジション名的には「マーケティング」畑を歩んできた印象を持つ方も多いのですが、私のキャリアは営業から始まりました。

私のキャリアは人材ビジネスを手掛ける株式会社インテリジェンス(現 パーソルキャリア株式会社)でスタートします。渋谷がビットバレーと言われていた2000年頃のベンチャー全盛期に学生時代を過ごした私は、様々な先輩起業家を見て、いつか自分も起業したいと考えてました。起業するために最短の道は何かと考えた時に、大手企業ではなくベンチャー企業に行こうと考え就職活動をしておりました。その中でご縁をいただいたのがインテリジェンスでした。当時のインテリジェンスは社員数も200名程度だったと記憶しています。(その後数年で数千人の社員数になりましたが)

インテリジェンスに入社後、当時25歳の方が社長を務める社員数10名ほどのエクスペリエンスというグループ会社に配属され、営業職につきます。勢いがある若い組織で多くのチャレンジをさせてもらい忙しくもかなり濃い時間を過ごしておりました。

転機が訪れたのは新卒入社から9ヶ月目、2003年正月休み明けに本社から全社員に召集が掛かりグループ会社戦略の見直しと、エクスペリエンスの本社への吸収が告られました。若気の至りと言えるのかも知れませんが、当時その決定に納得が出来なかった私は転職を決意し、これまたご縁があったAmazon Japan株式会社に移ります。Amazonへの転職は私にとって、その後「変身」する上でキーとなる大きな決断であったと思います。Amazonでも役割としては営業職からスタートします。当時のAmazonの日本法人には営業職の人はほとんどおらず、社会人経験1年にも満たない自分でも貢献できるのではないかとチャンスと感じていたことを覚えております。

Amazonでは6年間過ごしたのですが、なぜAmazonが「変身」する上で重要な意味合いを持っていたかを整理したいと思います。

入社後に衝撃を受けたのはそのカルチャーでした。Amazonでは年齢や学歴、ジェンダーなどを気にしている人はおらず、若干24歳だった自分も先輩方と等しく平等に扱われました。平等そして自由であることは良く聞こえますが、同時に大きなプレッシャーでもあります。経験がまだまだ少ない自分も他のメンバーと同じかそれ以上に結果を出すことを求められるのです。エクスペリエンスでも同じように良い意味でのプレッシャーは感じており成長の糧になっていましたが、Amazon時代は自由だが結果が出せなければKick outされるというプレッシャーがあり、守ってもらえている感覚があった日本企業と大きく違う部分でした。このハイプレッシャー & 自由な環境の中で、様々なチャレンジをすることが出来、早いタイミングでマネージャーポジションに就くことも出来ました。Amazonのカルチャーが自分の成長を加速させてくれたのです。Amazon時代も営業という軸は変えずにキャリアを歩んでおりましたが、自分自身のコアバリューがコミュニケーションであると気づいたのはこの頃でした。

そして、Amazonにて変身の土台を作ったのち、Amazon時代の仲間(先輩方)と共に2009年に起業することになります。役割としては営業を担当していました。この話は書くと長くなってしまうので細かい話は今回は割愛しますが、最初の頃は困難が続き、サービスを立ち上げてはうまくいかずにクローズする日々でした。そのような中、2011年に4つ目の自社サービスとしてPeatixを立ち上げます。Peatixはイベント・コミュニティを支援するサービスなのですが、立ち上げ当初からコミュニティやイベント主催者に対して「営業しない」というルールを決めておりました。なので、いわゆる営業職はなく、当時エバンジェリスト(現在はコミュニティマネージャー)という肩書きのメンバーがサービスの認知を広げて行きました。この時が2つ目の「変身」の転機となります。今までのサービスを売り込む営業から、相手に寄り添い、売らないアプローチへの変化です。その時に強く意識したのは、自分と相手がフラットな存在であること。Takeを考えずにGive firstで動くことでした。この考えは、拙著「コミュニティづくりの教科書」でも書かせてもらっていますが、コミュニティを醸成していく上で必要なコミュニティ思考へとつながっていきます。

こうして、自分の意識も大きく変わっていきます。これまではどうしても「サービスを売り込む」ということを中心に考えていたのですが、Peatixでは「どう伝えるか」「どう支えるか」という中心に考えるようになったのです。私の変身はこの時に始まったのです。

様々なコミュニティ、イベント主催者の皆さまにサービスを伝えていく中で、いつしか自分自身の役割は売ることではなく、伝えることへと変わっていきました。様々なイベントに参加し皆さまとお話したり、イベントに登壇させていただき思いを伝えたり、メディアで記事にしていただいたり、イベント主催者のコミュニティづくりなどを通じてPeatixを認知してもらうためのコミュニケーションの方法を考えることがミッションとなりました。

2019年にPeatixはコミュニティマネジメントの事業部とマーケティング事業部をまとめ、マーケティングコミュニケーション事業部(マーコム)としました。そして私がCMOに就任する運びとなりました。

営業とマーケティングはどちらも相手にサービスをどう伝えるかを考え実行することがミッションだと考えております。コミュニティ、イベント主催者と直接コミュニケーションを取りサービスを知ってもらうコミュニティマネージャーの動きと、コンテンツなどを活用しPeatixの認知を拡大していくマーケティング活動は、どちらもコミュニティ・主催者・ユーザーとのコミュニケーションを考え実行することなのです。よって、Peatixではマーコムチームの役割はコミュニケーションのデザインであると考え、動いております。

こうして、私自身の役割は営業からコミュニケーション設計、いわばコミュニケーションデザイナーへと変身を遂げたのです。

この変身に関して、先日、河原あずさんが日経COMEMOに "「変身」には「変わらない軸」が必要だ" という内容の記事を書かれていたのですが、非常に共感しています。自分にとっての変わらない軸は「コミュニケーション」でした。コミュニケーションを軸に様々なチャレンジをしているうちに良い形で変身し今に至ったのだと考えております。

また、「過去の経験値の延長線上で、自分の価値を推しはかろうとする」人はキャリア構築に苦労するという記事もあります。変身することは今後キャリア形成においても必須となっていくのではないでしょうか。

自分のキャリアを振り返った時、変化・変身出来たことは大きなチャンスにつながったと考えております。様々な経験を積むことが出来、視座が高くなり、より多くの出会いを生み出しました。そして何より変身していくことをとても楽しんでおります。
これからも私自身の変身は続くと思います。その際にも自分の軸が何か、軸を増やすことは出来るのかなどを意識し、変身することを楽しんでいきたいと思います。

#日経COMEMO #あなたが変身した話

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?