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2020年の明るいニュース:ジェンダー平等編

暗い世相に覆われた今年だからこそ、引き続き、敢えて明るいニュースに注目したい。ジェンダー平等の実現に向けて、振り返れば2020年が分岐点だったと思えるような出来事がいくつかある。

1. バイデン政権の女性要職登用
バイデン新大統領は、今日のアメリカ人口構成を鏡写しにするような、多様性に富んだ人材でチームを固めようとしている。有言実行で、マイノリティや女性の積極的な登用が目立つ。その結果、ハリス副大統領に加え、財務長官や国防長官という高い閣僚ポストに女性がつく見通し。もちろん、経験と評価がともなった人選であり、人材の層の厚みを感じさせる。

新政権を待ち受ける試練は大きいが、民主主義を代表する大国のトップ政治家が、男女バランスの良い配置になることは、世界のジェンダー平等に向けて前向きなメッセージを送るだろう。実績を持つパワフルな女性が、自然にリーダーシップを発揮する。この流れが日本へのインスピレーションとなることを期待する。

2. 「当たり前」を変える;女性の登壇者3割
日本のビジネス界において、長く課題と指摘されながらも、なぜジェンダー平等が進まないのだろう?根っこには、「当たり前」を変えるためには、想像以上に大きな努力が必要だという厄介な事実があると思う。何かが正しくなくても、見慣れてしまった景色に疑問を持つことには、とても難しい。

だからこそ、ひとつずつ、地道に「当たり前」を覆すことが大切だ。その一例として、ビジネスイベントの登壇者を女性3割にするという動きを評価する。英国大手報道機関でも、50:50 Equality Projectと名付けて、画面に映るジェンダー平等を達成しようとしている。

意識しなければ、男性ばかりの登壇者を気にしないことが多いだろう。潜在意識の刷り込みは大きい。ゆえに、景色を変えることにより、ひとの意識が変わる。「(登壇して)話せる女性がいない」のではなく、探していないだけということは、3割を達成したイベントが証明済だ。ジェンダー平等に向けて、出来るところから「当たり前」にチャレンジすることを続けたい。

3. 働き方ニューノーマル
コロナ禍によって、仕事の流儀が大きく変わった。もちろん、非正規職が雇用の調整弁になったり、女性の雇用割合が大きい小売りやサービスが打撃を受けたり、と短期的に女性にとってマイナスな要素は多い。その一方で、ホワイトカラーの在宅勤務が定着し、仕事の評価が「アウトプット主義」に変わることは、働く女性にとって長期的なプラスと考える。オフィスで長時間を過ごして「やる気を見せる」よりも、効率よく「結果を出す」ことが(男女問わず)良しとされる時代になったのだ。

これまでの日本の職場で語られるジェンダーの構図を要約すると、大多数を占める男性に対して、少数派である女性が「同じように働くので、どうぞ仲間に入れてください」と頼むというものだった。ゲームのルールは既存のマジョリティによって決められており、ライフイベントの多い女性にとっては不利なものだ。

しかし、コロナの影響で、ゲームのルールが帳消しされてしまった。これは千載一遇のチャンスだ。女性が働きやすいようにルールを書き換え、自分に適したやり方で働くことができるのならば、長期的なジェンダー平等の実現に大きな弾みがつくと考える。


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