「ウエルビーイング」が注目される訳
「ウエルビーイング」が注目されています。この分野を牽引してきた前野先生の本を始め、書籍もいろいろと出版されています(私の仕事も紹介していただきありがとうございます!)
ただ、ウエルビーイングはあまり日常会話では使わない言葉です。どんな意味なのか、よくわからない人も多いかと思います。
日本語の「幸せ」にあたる英語の言葉は「ハピネス」です。これに対し、ウエルビーイングとは、ハピネスをより固く表現したものです。この意味で、日本語でいえば「幸福」にあたりますが、幸福よりもさらに、形式張って固いイメージです。
ウエルビーイングとは、公式文書や論文などで使う固い言葉なのです。英語のドラマを見ていると、happinessやhappyは頻繁に使われるのに対し、wellbeingという言葉が使われることはめったにありません。固い言葉だからです。
happinessは日常でも「幸せ」の意味で頻繁に使う言葉です。先日もネットフリックスでアメリカのドラマをみていたらでは、主人公が恋人に対し、"I really want you to be happy."という場面がありました。「君に、本当に幸せになってほしいんだ。」という意味です。この場面ではwellbeingという言葉は似合いません。言葉として固すぎるのです。しかし、意味は大きくはハピネスと同じです。
それでは、なぜ敢えて、そのような固い言葉が注目されているのでしょうか。
それは、恋人や家族や友達などに関する幸せだけでなく、企業や政府などの、もともと固い対象でも、幸せを考えなければいけなくなったからです。企業経営や政策で幸せを議論するには、「幸せ」は柔らかすぎるので、固い言葉の方が相応しいからです。
特に、常に厳しいビジネスの競争環境にある企業では、固い言葉の方が受け入れやすいのです。
このハピネス&ウエルビーイングへの注目を、一時的なブームに終わらせてはいけないと思います。そのために、一人ひとりが今日からできることを行うことが重要です。
自分には、そんな権限も力もない、と思う人もいるかもしれません。いや、そうではありません。あなたが既に持っている制約や権限の範囲で、できることがあります。
そのようにして、皆で前進させるものがウエルビーイングです。
皆で幸せな社会をつくりたいものです。