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2021年M1、オズワルド前後問題、上沼恵美子さん採点暴走問題、塙どうした問題をデータで確認する

錦鯉優勝の瞬間、抱き合っているおっさん2人の姿を見て、こちら側も貰い泣きしてしまいました。錦鯉さん、優勝おめでとうございます。

前評判では、昨年のマヂカルラブリーみたく「漫才か漫才じゃないか論争」が巻き起こるのではないかと言われていましたが、蓋を明ければ錦鯉・インディアンスによるバカボケ大戦、オズワルドによる正統派漫才が決勝に駒を進めました。

特に、錦鯉・長谷川さんの「口を開くだけで面白い」は、私にとってジミー大西さん以来です。一番最後に遅れてやってきたお笑い第5世代の逆襲に胸が熱くなります。本当におめでとうございます&お疲れ様でした。

それでは、2021年のM1を各審査員の採点傾向と共に、様々な観点から振り返りましょう。

今年も過去3年間と顔ぶれが変わらず、逆に過去比較がし易くなっています。あと1年は同じ体制で続けて欲しいですね。日ハムの栗山監督だって10年やったんですから、その半分は続けて欲しい。


①オズワルド前オズワルド後問題

出場コンビに対して、各審査員は以下のように採点をつけました。合計点を見ると、オズワルド前・オズワルド後になっています。

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このような点から「ランジャタイは出てくるのが早かった」「真空ジェシカは後半だったら伸びた」という説もありますが、2019年にかまいたちが2組目に出場して一気に雰囲気を変えたように、本当に面白い漫才師は何番目であろうと関係無いのだと思います。

加えて言えば、1組目で637点は幸先良いスタートなのですが、ランジャタイが冷ました…という見方すらできます。

ちなみに過去3年間の採点を登場順に並べると、2018年ジャルジャル648点の後のギャロップ614点、2020年オズワルド642点の後のアキナ622点と、採点の高低差で耳キーンなるわ事件は何度も起きています。

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多少は影響するんでしょうけど、場が温まっているからウケ易いとは一概に言えないのではないか、と考えます。したがって、オズワルド前オズワルド後問題は「偶然」「多少の影響はあるかもしれないけど、全体を左右するほどではない」と私は考えます。


②上沼恵美子さん採点暴走問題

毎度お馴染みですが、今年も大阪城主・上沼恵美子さんの採点が話題に。何がそうさせるのか。「余計な発言が多い」と言われても、それと点数の何が関係あるのか。

まず、2年前に書いたnoteを残しておきます。

7人の採点を比較してみましょう。相関係数を出してみると、上沼恵美子さんは松本人志さんと傾向が近く、志らく師匠とは真逆のようです。

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さて、ここから主成分分析を用いて7人の採点を縮約します。

■主成分分析とは…
たくさんある列を、全体が分かりやすく見通せる1~3程度の列(次元)に要約していく手法。この要約は「次元の縮約」という表現で呼ばれる場合もある。要約した合成変数のことを「主成分」と呼びます。
この辺りの実装、何をやっているかよく分からないという方は、7人の審査員の得点を、2列に圧縮したと捉えて下さい。7人でそれぞれ傾向があって分かりづらいのですが「似た者同士の2列」があれば、それを1列にまとめます。7人分のデータ→2つの傾向にまとめて可視化しやすくなったと考えてください。

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今年は上沼恵美子師匠も振り切っていましたが、同じくらい志らく師匠も振り切っておりました。その際たる例がランジャタイ96点でしょう。

過去3年間の傾向からして、志らく師匠は「自分の評価の範疇を超える漫才を高く評価する傾向」にあります。18年のジャルジャル、トム・ブラウンが最たる例です。今年もその癖が出たな、って感じです。

1つの思考実験として、18年〜21年の漫才を「同じタイミングで採点された」と仮定して、40組分の採点を主成分分析してみました。

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やっぱり上沼恵美子師匠と志らく師匠が両極に鎮座します。しかし、これはこれで良いことです。こんなに両極に触れても両方から評価される漫才師は絶対に面白い漫才師です。

ちなみに、7人の審査員が固定された18年以降で比較して、21年オズワルド665点は19年ミルクボーイ681点に次ぐ第2位です。そうした制限が無くても、第4回アンタッチャブル673点、第9回笑い飯・第10回パンクブーブー・第10回笑い668点に次ぐ第6位の高得点なのです。

加えて優勝決定戦に進む第3位が655点というのは、過去そうありません。それぐらいレベルが高かったと思います。

その意味においては、個人の思い入れが入る余地もなく、満場一致の上位3組だったでしょう。すなわち、それ以下の組の採点において「上沼恵美子の採点が変だ」というのは、言い換えれば「私の感覚と合わなかった」と同義語と見做して良いと私は考えています。


③ナイツ塙どうした問題

過去4年分の採点の平均点と標準偏差を見比べると、変わらず評価している人、今までと違う評価をしている可能性がある人に気付きます。

変わらないのは松本人志さんでしょうか。今年もほぼ採点のダブり無く、87点ランジャタイから96点オズワルドまで1点刻みでした。唯一、ももにハライチと同じ92点をあげた理由は少し気になります。

また中川家礼二さんも、安定の89点〜96点間刻み採点でした。富澤さんは採点差をあまりつけないのですが、それは今年も同じでした。

変わったのは上沼恵美子師匠とナイツ塙さんでしょうか。上沼恵美子採点方式は18年〜19年の辛口、20年の甘口に分かれていて、21年はどうなるかと思っていたら辛口でした。やはり去年は、採点批判が応えたのかも。

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ナイツ塙さんはいつも得点差がはっきりしているのですが、今回の標準偏差は1.83と誰よりも小さい。最低は89点ハライチで、それ以外は全員に90点以上の採点を与えています。何があったのか…。


④M-1 2022に向けて

審査員が変わらないことで、多少の審査傾向の違いがあったとしても過去比較ができるようになります。過去4年分含めた上位10組に、2021年の3組が入りました。この結果から2021年は過去最高と謳われた2019年に次ぐ、素晴らしい回だったのではないかと感じています。(2018年、2020年がダメだと言っているわけでは無いですよ)

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採点する側が採点されているとボヤく審査員もおられるかもしれません。しかし、あと1回、同じメンバーで採点していただき、5年間のM-1を総評できるようにお願いしたいのです。

だってM-1はLife is Beautifulだから。

以上、お手数ですがよろしくお願いします。

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松本健太郎
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