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中国のtiktokがデリバリー事業を開始する。ショート動画xデリバリーの破壊力へ高まる期待

今回はtiktokの会社「抖音」の最新の動きと今後何をしていくかの未来予測です。抖音に追加される機能やサービスは日本や海外のtiktokサービスにも将来実装されるかもしれないので、tiktokにハマっている人やビジネス的に興味がある人はぜひお読みください。

tiktokをサービスしている中国企業「抖音」が3月1日からデリバリーサービスに本格参戦するのかというニュースが話題になっています。

Weiboの話題TOPに

これに対しサービスの担当者は「デリバリーのプロジェクト(グループ配送)は、北京、上海、成都でまだ試験的に行っており、最近3都市を企業のセルフサービスに開放したところ」と回答したとのこと。このパイロット版の後に順次サービスの拡大を検討する予定で、具体的なスケジュールは未定という見解。

ところで、中国版tiktokの「抖音」には日本などでみなさんが使っているtiktokには無い機能がいくつもあり、ECサービスもあるし専用のページも用意されています。

↑中国版のtiktokの生活サービスのページには、近くの美食、娯楽、お出かけ、美容、お泊まり、子供、ジム、ネイルなどに関する店情報や商品の入り口が表示されていて、それぞれのサービスを利用できます。これが他のアプリと似ていて

↑ボクが愛用しているdianping(生活サービスの最大手の美団傘下)で、美食、観光、泊まり、娯楽、イベント、医療、美容、親子、生活サービス、お酒Barなどの項目があります。

この比較を見るだけでも(あまりに似てるでしょう)、tiktokがオフィシャル的にいくら否定しても事業の方向は明らかであることが考察できますね。さらにこんな情報も↓

(画像:ifengから)

バイトダンスのオフィシャルサイトにも、「デリバリー運営マネージャー募集」という求人情報が掲載されています。

今後デリバリーに進出していくのは間違いなさそうですが、いくらジャイアント企業で既にECサービスにも取り組んでいるとはいえ、動画プラットフォーム(tiktok)とニュースサービス(今日头条)がメインの抖音がデリバリー事業に参戦するというのは、普通に見ると飛び地事業で唐突感がありますね。

デリバリー事業ではお店との提携など細かく整えなければいけないものがたくさんある上に、中国国内には美団(メイトゥアン)と饿了么(ウーラマ)の2強が存在しています。

強すぎて規制されるほどの存在がいるなかに参入していくというのは勝算があってのことなのか。

実は抖音はこの2強のひとつ饿了么(ウーラマ)と2022年8月19日に協業を発表しています。饿了么(ウーラマ)に登録されている何百万もの加盟店が、抖音の6億人(MAU)のコンテンツに連動してオンライン注文から即時配送までのローカルライフサービスを提供できるようにする計画、という驚異の提携で話題になりました。

(画像:百度百家号から)

美団(メイトゥアン)や饿了么(ウーラマ)に比べ、tiktokのデリバリーはよりライブECに近いです。美団(メイトゥアン)や饿了么(ウーラマ)はuber eatsとあまり変わらず、食べたいものや食べたいものを注文して届くのを待つというのに対し、tiktokでは動画で消費意欲(食欲)を煽るわけです。

利用者目線から言えば、「お腹が空いたからデリバリーを頼もう」よりも「そろそろ食事の時間だし、これ美味しそうから頼もう」の気持ちが強いかも。今までのデリバリーの体験を変える可能性を期待してしまいます。

また、デリバリー以外にも、実際にお店に食べに行く割引セットもtiktokが絶賛販売中です。限定のセットを販売していて、さらに今時点では店側への手数料がデリバリー2強より安いのでdianpingの同じセットよりお得に購入できるのです。

(先日実際に食べに行った火鍋の2人前セット)

僕も先日吉野家でご飯を食べてる時に熱心なおばさんに教えてもらい知りました。この時はdianpingと購入価格は同じでしたが、tiktokの方がおでんひとつ多めでした、中国のおばちゃんのケチぶり、博識には恐れ入ります。

さらに、tiktokはデリバリーだけではなく、すでにO2Oのスーパー事業にも参入しています。

(画像:百度百家号から)

ちょっと前まではアプリ上で専用の入り口がありましたが、現在は検索で「抖音超市」と検索して利用する形になってます。

(画像:百度百家号から)

↑利用画面はデリバリー2強やEC大手のJDともそんなに大きな差がないですが、配達チームがないため宅配最大手の「顺丰」で配達していて、これはかなりのコストになるでしょう。

いずれにせよ今後熾烈な戦いが繰り広げられることが予想されます。いくつかの消費者への取材では、娯楽アプリや動画アプリで日常生活の買い物をするよりも、いつもの使っているスーパー系のアプリで購入したいとの意見が強かったです。ただ、価格に敏感な利用者も多い中国ですので、抖音の割引が大きければ大きいほど、利用意欲は上がります。一度利用体験をさせてそこから中毒化させる手法なのか。

個人的な体験からいうと、確かにデリバリーにはデリバリーのアプリ、スーパーにはスーパー系のアプリと使い分けがあります。また、どうしてもアプリをインストールしたくなければ、AlipayやWechatの「小程序」でアクセスするのが非常に便利です(pinduoduo以外ではほとんどのサービスがアリババやテンセントの資本が入っているので同じエコシステム内ではミニプログラムサービスが充実していて非常に便利です)。

でもtiktokの強みは利用するユーザー数とユーザーの膨大な可処分時間、そしてもちろん動画の破壊力ですよね。動画を見ながら急にお気に入りのものが登場したり、アルゴリズムでプッシュされた広告が効いて買いたくなるときもしょっちゅうあります。

現在はまだ価格戦段階でいろんな意見があるでしょうが、膨大なユーザーと素晴らしいアルゴリズム技術を持つバイトダンスだからこそ、これからのローカルサービス市場に新たな競争を持ち込むのではないでしょうか。

そして中国で実装され成功したものは海外版でも展開されていく未来があるでしょう。ただ、日本のデリバリーサービスやECサービスはアメリカのサービスに圧倒されていますよね。度々アメリカでの禁止がニュースになるtiktokが、市場規模もそこまで大きくない日本でどこかと提携してこういった機能を普及させていくって難しいのかな。

願わくば、日本国内の企業からデリバリーやECやスーパー系のサービスが登場して普及して連携してみんなを便利にして欲しいですし、tiktokを超えるようなモンスターアプリが出て欲しいですね。

(参考資料)


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